感性豊かな中高生の才能を引き出せ! カーデザインコンテストが世界をリードする一流デザイナーを育てる

3月25日、アルカディア市ヶ谷(千代田区)にて、第7回カーデザインコンテストの表彰式が開催されました。ここでは、未来のカーデザイナーを育成する同イベントの内容と当日の模様をレポートします。

本コンテストは、自動車メーカーを会員とする公益社団法人自動車技術会が主催し、同会デザイン部門委員会が企画する「カーデザイナー人材育成プログラム」のひとつ。感受性が高く、人生観や職業観の形成期にある中高・専門学校生に向けて、創造の楽しさ、カーデザインの魅力を広く発信する公募イベントです。

7回目を迎えた今年のテーマは「10年後の暮らしを楽しくする乗り物」。今回は昨年の約1.5倍となる386件(高校生347件、中学生39件)の応募があり、この中からトータルでもっと優れた作品の「カーデザイン大賞」、イメージや機能が優れて表現された「カーデザイン賞」、工学的な工夫に優れた「タビンチ賞」、審査員の総意による「審査員特別賞」が競われました。

審査は1月29日、同委員会メンバーやエンジニアなど32名により厳正に行われ、1次から3次審査で23案まで選出、最終審査において6名の受賞作品が決定しました。

式は賞状や副賞の授与を始め、全体講評や来賓挨拶などで前半が終了。それぞれ父兄が同伴した受賞者は初々しく、和やかな雰囲気で進行しました。そして当日のメインイベントは、各メーカーの現役デザイナーと、受賞者6名とのマンツーマンによる「スケッチ講習会」です。

これは、各受賞作品を担当デザイナーが事前にブラッシュアップ。これを手本に、さらにクオリティアップしたスケッチを描くという貴重な体験です。受賞者は、プロが描き起こした見本に驚きながらも、丁寧な指導によって格段に上達した自己作品を完成させました。

さて、大いに盛り上がった会場ですが、今回はふたりの受賞者に自身の応募作品について話を聞きました。まず、走る観光案内所である「旅路-Tabiji」でカーデザイン大賞を受賞した岩片智君。彼は昨年のカーデザイン賞に続き、何と2年連続の受賞です。

「来年の東京オリンピックを機に、多くの外国人観光客を想定した「日本を紹介するクルマ」を考えました。単に観光案内所を建てるのではなく、いろいろな地域に移動しながら様々な案内を行い、オリンピック後には日本人にも乗って欲しい。ボディはひと目で日本を感じる伝統的な扇形とし、メインカラーの紺は日本人の奥ゆかしさと風景との調和を兼ねたものです。将来はやっぱりカーデザイナーを目指したいですね」

ふたり目は、画期的な車イスの提案「Free crawler 人を包み込むバリアフリーの車椅子」でダビンチ賞を受賞した滝川麻友さん。

「私の祖父母はとてもアクティブなのですが、今後もずっと自由に楽しく外に出掛けて欲しかったのと、通学時、車イスの方がバスに乗るのに運転手さんも本人もお互いに大変そうで、車イス自体がハンデにならない方法はないかと。当初は単純にどこにでも「貼り付く」車イスを考えたのですが、形状自体から考え直しました。ダンパーを使うのはマウンテンバイクからの発想ですね。いまは建築デザインにも興味があるんです」

AIやIotを活用したイノベーションなど、近年はデザイン思考がビジネスの場に用いられる傾向にあります。それは時代の流れでもありますが、一方で本来の「モノ作り」の素晴らしさが取り残されているようにも感じられます。

本コンテストは世界をリードするカーデザイナーの誕生が目標ですが、そのためには単にクルマ好きの若者を増やすというより、「モノ作り」自体の復権を担う活動であってもいいのかもしれません。

[第7回 カーデザインコンテスト]

・カーデザイン大賞
「旅路−Tabiji−」 岩片智(東京都立工芸高等学校2年)

・審査員特別賞
「−kcal マイナスカロリー」 金 (東京韓国学校2年)

・カーデザイン賞
「南極救助隊2029 サーチ・ドローン搭載車」 林侑太朗(三重県立飯野高等学校2年)
「Storm」 魚住拓磨(岡山白陵中学校2年)

・ダビンチ賞
「Free crawler 人を包み込むバリアフリーの車椅子」 滝川麻友(お茶の水女子大学付属高等学校2年)
「ドクターカー Doctor car」 長尾美雨(神戸市立広陵中学校1年)

(すぎもとたかよし)

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