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【奪取! ニュルブルクリンクFF車最速の座!!】
2代目「メガーヌ」から派生した「メガーヌR.S.」。4代目の現行「メガーヌ」の「メガーヌR.S.」はR.S.としては3代目となりますが(←ちょっとややこしい)、歴代「R.S.」はルノー・スポール社が一体となり、ニュルブルクリンク(北コース)のFF車記録更新を使命としてきました。
2008年、給油以外はノンストップの「ニュル1000km耐久テスト」を決行。ニュルのコースはヨーロッパの街並みをも再現できるため、テストドライバーにとっては超過酷なものの各パーツの耐久テストとして最適なコースなのだそうです。
その後、3代目「メガーヌ」派生の2代目「R.S.」をベースとした「メガーヌ R.S. 275トロフィー.R」をさらに軽量化(2シーター/他)したSPL.仕様により2014年6月、それまで他車が記録したタイムより4秒以上も更新する7分54秒36というラップタイムを記録したのです。
【4代目「メガーヌGT」と3代目「メガーヌR.S.」に採用された新機構が絶妙な仕事をする】
そんな過酷なテスト&トライを経て、2017年11月より日本で発売された4代目現行「メガーヌ」。その「R.S.」バージョン(3代目)が日本で発表されたのは2018年8月。全車シャシー・スポール(今回発売されるMTのシャシー・カップよりはストリート寄り?)で4ドア、EDC(エフィシエント・デュアル・クラッチ/2ペダル・パドルシフト)で登場です。
この現行「メガーヌR.S.」にも井出さんは試乗されています。
「首都高やターンパイクなどで乗ったんですけど、とにかく楽しくて! レーシングカーよりしっかりしてるんじゃないの?と思えるようなEDCや、ルノーイチ押しのひとつ「4コントロール(4輪操舵システム)」+「4HCC(4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロール)」はそのシステムが素晴らしく、高速・ワインティングメインのストリート試乗のみでしたがいろんなシチュエーションで楽しみました!」(井出さん)
【リヤタイヤも動く「4コントロール」システムとは?】
ラグナGTから開発が進められていたというこの4コントロールは、ようやく4代目「メガーヌGT」で採用されたのだそうです。この機構は今回試乗した「R.S.カップ」にも同仕様のものが採用されているので、井出さんにインプレッションを聞いてみました。
「低速時はステアリング・アングル(フロントタイヤの向き)とリヤタイヤの向きを逆にし、高速時にはステアリング・アングルとリヤタイヤの向きを同じにするという、リヤのトーを電子制御させる機構です。低速時の最大切れ角は2.7度で、より回頭性が良くなり小さいコーナーをスムーズに少ない舵角で曲がることができます。これは今日のヘアピンコーナーでも感じられましたよ。また高速時、ステアリングをあてロールさせながら抜けていくようなコーナーでは、今度はステアリング・アングルと同じ方向に最大1度リヤタイヤが向き、タイヤ性能も使ってスタビリティを出すというかたち。これにより非常にクルマの姿勢も上手く保てますし、コーナーを攻めるうえで限界を超えた時でもきちんと修正を入れやすいので、非常にトータルのパッケージとしてコーナリングのレベルが上がっていると感じました」(井出さん)。
「この切り替えスピードは選択するマルチセンス(走行モード)により変わります。レースモードでは約100km/hで、それ以外のコンフォート、ニュートラル、スポーツでは約60km/hで高速・低速の切り替えが行われます(パーソナルは各機能を項目ごとに設定可)。その切り替えもまったく違和感が無いんです。レースモード時、ハイスピードの100km/h以上で同位相になったとき、リヤのタイヤが固定され、タイヤのスタビリティも使ってグリップさせているので、ステアリング・アングルもナローだしクルマも安定しているんです」(井出さん)。
車名の元となった「シャシーカップ」や「トルセンLSD」「バイマテリアル構造ブレーキ」「4HCC」「6速マニュアルトランスミッション」、先代の2Lからからダウンサイジングされた「1.8L直噴・三菱製ツインスクロールターボ(ボールベアリング式)」、そして井出さんが興味深げに開発スタッフに聞いていた「タイヤ」に関しては、続くレポートその2以降で井出有治さんのインプレッションも含め、詳しくお伝えしていきます。
(試乗:井出 有治/文:永光 やすの/写真:平野 陽・井出 有治)
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