●「スポーツ系SUV」と名乗れる仕上がり。4WDの設定が待ち遠しい
BセグメントとCセグメントの中間くらいのサイズであるホンダ・ヴェゼルに追加された、1.5Lターボの「ツーリング・ホンダ センシング」。街中では驚くほどの快速ぶりを誇るわけではないものの、高速道路にシーンを移すと、右足の反応に対して即座に反応し、ストレスのない加速を披露してくれます。
現代のターボユニットらしくターボラグを明確には感じさせない吹け上がりの良さも美点で、速度制限内であれば十分に速いといえる動力性能で、172ps/5500rpm・220Nm/1700-5500rpmというスペックどおりの実力の持ち主。トルコン付CVTの変速フィールもCVTにありがちな音ばかり高まって、加速感が付いてこない、いわゆるラバーバンドフィールもかなり抑えられている印象を受けます。
ボディ補強や音・振動対策として、欧州向けと同じ仕様が使われているという「ツーリング」は、「RS」と同じように日本仕様に同エンジンを搭載すればもう少し軽くなったかもしれません。それでも「ツーリング」の名から想像できるように、静粛性やボディ剛性感の高さなどにも目配りすることで、高速道路を使って快適なロングドライブを楽しむというニーズに応えるのが同モデルとなっています。
足まわりはかなり硬めではあるものの、ボディ補強とパフォーマンスダンパーにより、揺れがいつまでも続かずにほぼ1発で収束する感じは、スポーツ系SUVと名乗れる仕上がり。また、静かなハイブリッドと比べても、エンジン由来の振動や音はかなり押さえ込まれていて、むしろロードノイズの方が相対的に気になるシーンがあるほど静かです。これで足のしなやかさが加わり、SUVだけに4WDも設定されれば、満額回答といえる完成度の高さとなりそうです。
(文/写真 塚田勝弘)
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