大手が出展を控え、新興はベッカムをゲストに招く。MONDEAL DE L’AUTO通称パリ・サロンは120年目の節目で、モーターショーはどう変わる?【パリショー2018】

1898年に第1回を開催したパリモーターショー。今年は120周年ということになりますから、ほぼ自動車の歴史とともに開催されてきたと言えるでしょう。

もちろん、毎回ポスターは作られて、初期のものから見ると、その伝統の長さを感じさせてくれます。

会場は、パリ市内のトラム(路面電車)でアクセスできる位置にあり、比較的アクセスは良い場所です。見本市を多数やってきたパリならではでしょう。幕張メッセはもちろん、東京モーターショーのビッグサイトよりは都心から行きやすく、便利な場所と言えそうです。

近年、モーターショーはその役割を新興国に向けたものへとシフトしてきて、自動車メーカーは、国際ショーを絞り込んでここぞというショーには出展し、そうでないところは見送るという傾向にあるといいます。

 

今回のショーでも、ヨーロッパ最大手のひとつであるフォルクスワーゲンは出展せず、アウディは地元ディーラーの出展となっています。

地元であるルノー、プジョー、シトロエン、さらにDSは大きなブースをそれぞれに構えています。アルピーヌも独立したブースを用意しています。

それでも、BMWは新しい3シリーズやスープラと兄弟となるZ4、8シリーズ、X5など、既存の大手ではもっとも多く新型を発表。

 

ルノーは最大規模のブースでクラシックカーのレベルから、もはやクルマと呼んでいいのかわからないようなコンセプトカーも登場させ、とにかく会場を盛り上げようという意志がバシバシ伝わってくるようです。

しかし、新興メーカーにとって、パリデビューの意義は大きいようで、中国のGAC MOTORは初出展で大きなブースを構え、そこで現在もっとも激戦区のひとつであるCセグSUVとして「GS5」をワールドプレミア。

  

さらに、ベトナムからはVINFASTが新型車両SUVのLUX SA2.0とセダンのLUX A2.0の両車両をワールドプレミアする際に、ゲストとしてベッカムを招待! ミスベトナム2018とともに、プレスデー初日のサプライズな話題をさらっていきました。

日本勢は、トヨタがレクサスとともに大きなブースで出展。トヨタはプレスカンファレンス(記者向け発表会)を行わず、タブレットを渡してご自由にご覧ください、というスタイルです。確かにその方が便利で理にかなってますが、だったらショー会場への足は遠のくのでは?とやや心配になります。

レクサスには鯖を使った日本食を一部に提供していました(私はありつけず…)。ホンダはシビックの痛車を展示。やはり日本のイメージはこの辺りがわかりやすいところでしょうか。

韓国メーカーのHYUNDAIやKIAが、とくに韓国らしさをアピールしていないのと対照的です。

また、2輪メーカーも大手はほとんど出展しているようで、国産4メーカーでもKAWASAKIブースがもっとも大きかったのには個人的に驚かされました。

サプライヤ系では日本のアイシンがプレスカンファレンスをしっかりやってくれて、欧州勢が表明している電動化への対応は抜かりなくやっていることをきっちりアピールしているのが印象的でした。ZFやコンチネンタルなどの姿は見当たりませんでした。

そういった大手メーカーの出展状況、電動化や自動運転の流れはちゃくちゃくと進んでいるであろう中感じたのは、パリショーではクルマを楽しもうという意図は変わることなく、これからも育んでいこうという姿勢が空気として漂っているのです。その点においては、まだまだ日本は遅れている感が否めません。

楽しめる東京モーターショーを2019年には期待したいところです。

(clicccar編集長 小林 和久)

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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