ドラマは勝者だけではない。各チームの戦いを振り返る【第16回全日本学生フォーミュラ大会】

2003年にチームを設立し、2005年から参戦をスタートさせた横浜国立大学。これまでに2位を2回獲得しており、順位/出場回数で計算すると出場校中トップの成績を残しているチームなのだ、とチームリーダー椎橋祐介さん。またチームの主力が学部の1・2年生という若いチームでもある。

今回はチーム初の前後ウイング装着車を製作。吸排気の設計でもトルクの谷の内容に解析で詰めて設計するなどして昨年より速いマシンに仕上げてきた。まだエアロの解析が足りなかったり、タイヤを使いきれるマシンにまで熟成が必要だったようだ。また静的審査も少し点数としては伸びがなかったこともあってあと一歩というところだった(673.22点/総合13位)。

ミスター・ロードスターこと元マツダの貴島孝雄教授がアドバイザとしてチームに帯同している山陽小野田市立山口東京理科大学。マシンの製作が予定よりも2か月遅れてしまったことと、マシンはアップライトのハブのアルミ化やオイルパンの短縮など細かな見直しを行ったことで、14kgの軽量化を実現。またこれまで取りこぼしていた静的審査部分にも力を入れて昨年よりも倍の得点を獲得。

燃費得点にも配慮し燃調マップなどにも力を入れ、取りこぼしを徹底的に減らしたことで無事に順位アップを果たした(603.40点/総合22位)。

大学のカラーよりもスズキのカラーリングのイメージが近年強くなっている東海大学。今回もさらにそのイメージが強いが、カーボンモノコックとエンジンをアピールするためのもの、とチームリーダーの月村雄太さん。軽量になったモノコックにあわせ足回りの進化もできたという。

すでにここまでに200kmほどの走り込みもできており、事前の試走会からも好調で、今大会では目標以上の成績を獲得した(709.94点/総合8位)。

最後に紹介するのは海外チーム。初代NSXの元テストドライバーで、その後ホンダアクセスのモデューロ・ブランドの味付けなどに関わってきた玉村 誠さんが、自ら進んでボランティアでアドバイザを務めているタイ王国のプリンス・オブ・ソンクラー大学チーム。

昨年に続いて2年連続での日本大会参戦(日本大会への参戦は4度目)となった。バイクに乗ることはあっても、日常的に学生自身がクルマに乗る機会が少ないという状況もあって、玉村さんは何度も現地へ足を運んで、クルマの運転の機会はもちろん、フィードバックのし方など開発やモノづくりを教えているという

。チームリーダーのジェスラコンさんは「接地のためにジオメトリーを変更。車幅を広げ重心高を下げた。タイヤの性能を引き出すセットアップにした」ということだったが、肝心のエンデュランスではウエット路面でのアタックとなってしまい、ドライバーのウエット経験が少なかったこともあって、少しタイムは伸び悩んだものの、きっちり順位アップした(495.54点/総合31位)。

(青山義明)

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青山 義明

編集プロダクションを渡り歩くうちに、なんとなく身に着けたスキルで、4輪2輪関係なく写真を撮ったり原稿書いたり、たまに編集作業をしたりしてこの業界の片隅で生きてます。現在は愛知と神奈川の2拠点をベースに、ローカルレースや障がい者モータースポーツを中心に取材活動中。
日本モータースポーツ記者会所属。
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