【メルセデス・ベンツ GLS 350d 4マチック試乗】ものすごい存在感を放つ「ドでかいボディ」の7人乗りSUV。中身は意外と優しく使いやすい

メルセデス・ベンツはクロスカントリー性能を備えるモデルに“G”の記号を与えています。トップ・オブ・トップはクロスカントリー4WDのGクラスです。

今回試乗したGLSはちょっと変わった履歴を持つモデルです。もともとはGLというネーミングでスタートし、現行となる2代目のシリーズ途中でGLSに名前を変えました。GLSはGクラスに変わって、メルセデス・ベンツのクロスカントリー系のトップとなる予定でしたが、市場はそれをのぞみませんでした。

GLSはアメリカの工場で製造されるモデルで、ジープ・グランドチェロキーとプラットフォームを共有しています。同じくアメリカで作られた初代Mクラスはフレーム式でしたが、GLSはモノコック構造のボディを採用しています。ボディサイズは全長5130mm、全幅1935mm、全高1850mmとかなり大きなものです。と言ってもランドクルーザーが4950mm×1980mm×1880mmす。全長は長いですが、全幅はランクルより狭いのです。

さすがにこのサイズは気を遣いますが、高い目線と見切りのいいボディは、車高が低い一部のセダンなどよりはずっと扱いやすい印象です。高速道路に入るとじつに快適です。大きなボディが気にならないのはもちろんですが、3mを超えるホイールベースが生み出すゆったりとした乗り心地は日本仕様の日本車にはないものです。

ステアリングを切った際のクルマの動きもゆったりしていますがハンドリングは正確で、高速道路の車線変更からコーナリングまで、不安を感じる部分はありませんでした。

車重は2.5トンを超えますが、搭載される3リットルディーゼルエンジンも最高出力が258馬力、最大トルクが620Nmと十分なスペックを持っていますから不足感はありません。重いクルマを大トルクで引っ張る様子は、さながら象の突進のような迫力です。これは外から見るだけでなく、乗っていても驚くほどの迫力があります。ディーゼル特有のフラットなトルク感がこのクルマのキャラクターに合っています。

  

フロントシートはドイツ車らしいしっかりした形状で、サイドサポートもグッと張り出しています。クルマが大きくロールしても、シートがしっかりと支えてくれるので、安心してドライブできます。セカンドシート、サードシートは十分なスペースを持っていますので6人乗りでドライブに出ても窮屈感はないでしょう。サードシートのクッションとフロアの高低差も十分にあります。

ラゲッジルームは定員乗車時でも比較的広く、フラットなものです。サードシートだけをしまっただけでも十分なラゲッジスペースが現れ、高い搭載性を誇ります。ただし、ミニバンのようにフロアが低くはありませんので、荷物を積む際はちょっと高い位置まで持ち上げないとなりません。

(文・写真:諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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