以前、誰もがクルマに地図を載せていました。けれど、カーナビの普及により、車内で地図を広げることはほとんどなくなったという人も多いはずです。
しかし、カーナビもスマホの普及により、地図アプリに取って代わられる日が来るかも知れません。もちろん、車載カーナビのいいところもあるんですけどね。
けれど、おはようからおやすみまで一緒で、電車で行こうかクルマで行こうかと迷っているところでもルートを検索しちゃうスマホをそのままカーナビ代わりに使いたいのも事実でしょう。
ところで、車内でスマホカーナビの地図アプリを使うにあたっての最大のネックは「置き場所」じゃないでしょうか?
ダッシュボードにただ置くんじゃ画面は見えないし、市販のホルダーではエアコンの吹き出し口を潰したり、見やすくないとかグラグラだったりとか…ベストなものはなかなかありませんでした。
それを見かねたトヨタ自動車の山田貴子さんは、「ユーザーニーズがあるのなら、使いやすいものを作るべき!と一肌脱いで開発に取り掛かります。
試作品ができて、いざテストという段階になりました。メーカー純正となるのだから、しっかりしたクオリティは必須!ということで選んだのは全日本ラリーの舞台です。ラリー車両に取り付けてもらい、ハードな使用に耐えられるかチェックします。まさに「モータースポーツは開発の舞台」というわけです。
6回もの試作を繰り返し、車両がひっくり返ったもののスマホホルダーは無事だった!という貴重なテストのチャンスまで訪れ、ようやく完成に近い状態になったといいます。
できあがったホルダーは、ラジオやオーディオ、カーナビなどを取り付ける部分にベースを取り付ける。一般的にDIN規格と言われる部分で、国内外多くの車両に採用される規格なので、トヨタ車はもちろん、他社でも物理的には装着可能。
そこに、ホルダーを差し込みます。ホルダーにはワイヤレス給電規格「Qi(チー)」に対応しているものも用意され、多くのスマホはそれを選べばコードレスに充電が可能。
さらに、Bluetooth対応マイク内蔵タイプでは、音声入力が容易になり、音楽などを車載スピーカーから出力することが可能になります。
もちろん、角度は上下左右に調整可能で、ワンタッチでスマホは取り外し可能。「車載マルチディスプレイホルダー」というネーミングのように、タブレットサイズでも搭載可能のようです。
現段階では以上の3タイプをラインアップの予定で、普通のホルダータイプが1万円、Qi対応タイプが1万5000円、QiとBluetooth対応タイプが3万円程度を目指しているといいます。
こちらのスマホホルダー「車載マルチディスプレイホルダー」は、8月1日オープンしたばかりのTOYOTA MOBILITY SHOWROOMに展示してあります。
TOYOTA MOBILITY SHOWROOMにはこのほかにも、居眠りなどドライバーをモニタリングするシステムや、先ごろ発売になったクラウンに搭載されている「つながるクルマ」のデモ、ACC(追従型クルーズコントロール)や自動ブレーキのVR体験、ARによる車両の診断システム、センターでの認証によりスマホで車両を解錠できるシステムなど、クルマの最新と未来を体験できるショールームになっています。
子供の自由研究のテーマに「これからのつながるクルマ」を選んでここで取材するのも良いのではないでしょうか?