フォルクスワーゲンの電気自動車がパイクスピークで歴代最速タイムを記録

100年を超える歴史を持つ、アメリカン伝統のモータースポーツイベント「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」が今年も開催されました。パイクスピークと通称されるこのイベントは、大小156個ものコーナーからなる19.99kmの峠道を駆け抜けるタイムアタック大会。

今年の注目は、久しぶりにワークス参戦したフォルクスワーゲンです。しかもマシンは「I.D. R Pikes Peak」なるレース専用のEVを専用に開発。ドライバーは現在、2連覇中のロマン・デュマ選手という勝てる体制。大会前からコースレコード更新が期待されていました。

従来のコースレコードは、2013年にセバスチャン・ローブ選手が、875馬力のモンスターマシン「プジョー208 T16 パイクスピーク」を駆ってたたき出した8分13秒878でした。

はたして、デュマ選手のゴールタイムは7分57秒148。過去最速タイムを更新、初の8分切りを実現したのです。

レコードマシンとなった「I.D. R Pikes Peak」の最高出力は500kW(680PS)であると発表されています。2013年のレコードブレイカー「プジョー208 T16 パイクスピーク」よりパワーが少ないのに記録を更新したのには驚かされますが、ゴール地点の標高が4300mとなっているため上にいくほど空気が薄くなりエンジン車はパワーダウンしていきます。空気密度の影響をそれほど受けない電気自動車のアドバンテージを活かしたニューレコードタイムといえそうです。

しかも、新記録樹立した日は、このマシンの開発をはじめてから250日目だったというのも驚きです。勝てるマシンを短期間で作り上げたフォルクスワーゲンの技術力を、電動化トレンドの拡大に向けて大いにアピールする結果となりました。

(山本晋也)

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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