【プジョー308試乗】 フランス流Cセグメントハッチバックの特徴を、3気筒 1.2Lガソリンターボのベーシックグレードから探る

今回、ご紹介するのはプジョー 308。Cセグメントに属するクルマです。

欧州を中心としたハッチバックのカテゴリの中でも、Cセグメントは実にライバルの多いジャンルです。VW ゴルフを筆頭に、アウディ A3、メルセデス・ベンツ Aクラス、BWM  1シリーズ、アルファロメオ ジュリエッタ、ルノー メガーヌがあり、日本車ではマツダ 3(アクセラ)、スバル インプレッサなど多種多様。

そして、2018年5月にはトヨタがカローラハッチバック(仮称)というプロトタイプの新型車を発表しました。自動車メディアのサイト上では、そのデザインや動性能について大変にぎわっています。

今回、なぜプジョー 308を取り上げたのか? というと、ドイツ勢とは違う戦い方をしているフランス車の実力をしっかりと把握したうえで、新型カローラを含む日本車勢のレベルを把握したかった、というのが狙いです。

 

試乗したのは、スポーツグレードの「GT」 や売れ筋の「Blue HDI(クリーンディーゼルエンジン)」でもない、1.2L 3気筒ガソリンターボエンジンを搭載したベーシックグレードの「Allure(アリュール)」。クルマの素性が現れる乗り心地やNVHは、ベースグレードの性能でほぼ分かります。ベースグレードはNVHに条件の良いタイヤを装着していることが多いためです。今回の装着タイヤは、ミシュランENERGY SAVER(205/55R16)。低燃費と性能の両立をリーズナブルな価格でバランスさせているタイヤです。

偏りの少ないど真ん中のグレードで、どういったレベルにいるのか、非常に楽しみにしていました。ちなみに「GT Line」にすると、タイヤはミシュラン製225/40R18と幅広かつ低扁平となります。サスペンションの作り分けなどの対策をしない限り、乗り心地とロードノイズの悪化が起きるのは、目に見えています。たとえタイヤがスポーツ寄りに変わっても、車両のポテンシャルが上がるわけではないのです。

 

エクステリアの特徴は、正直なところ特に見当たらないというのが印象です。ヘッドランプの造形やフロントグリル、フォグランプ周りやサイドに回り込んでいるテールランプも、どこかで見たことのあるデザインを集めた様な印象でした。フェンダーとタイヤの隙間は指が縦に3本ほど入る程度と、全体のプロポーションはぐっと構えたスタイリングに見え、試乗直前まで乗っていた日産リーフの様に腰高なクルマには感じません。

クルマをお借りしたときに横にならんでいた「シャレオツ」なシトロエンとは売り方が違うという主張は分かるのですが、エンブレム以外、他メーカーのハッチバックと同じ様な方向性のエクステリアデザインだと、一体どこが差別化できている?というのが心配になります。

この記事の著者

Kenichi.Yoshikawa 近影

Kenichi.Yoshikawa

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイラインやフーガ等のFR高級車の開発に従事。車の「本音と建前」を情報発信し、「自動車業界へ貢献していきたい」と考え、2016年に独立を決意。
現在は、車に関する「面白くて興味深い」記事作成や、「エンジニア視点での本音の車評価」の動画作成もこなしながら、モータージャーナリストへのキャリアを目指している。
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