前回、RE雨宮自動車の、あの有名すぎるシャンテの「ゼロヨン仕様」と「最高速仕様」を紹介しました。
当時、雨さんはR246や東名高速をシャンテに乗って「ドライブ」していた話は有名ですよね。そんなとき、一緒にランデブー走行をしていたワゴン車がいたことをご存知でしょうか?
そう、それが今回紹介するクラウン・ワゴンです。オーナーは……青いトランザムで最高速トライアルをしていた、元トラスト・大川光一さんです。コイツはまさにバケモノ・ワゴン! では、プレイバックしてみましょう。
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240km/h!を豪語するバケモノ・ワゴン
クラウン・ワゴン・ツインターボ
異色チューンドカーの代表格といえば雨宮シャンテがその筆頭だが、今度はなんとライトバンのチューニングカーが登場してきた。
このクラウン・ワゴンを作ったのは、あのTRUSTトランザム(OPT最高速トライアルで、264.71km/hをマーク)の大川光一さん。
ベースは50年型のクラウン・カスタム・ワゴン。2LのM-U型エンジンは2.6Lの4M-U型に換装、さらに83mmにボアを拡大して5M-EUと共通の2790ccの排気量を得ている。これに組み合わされるのは、なんとKKK製K26/2470Rのツインターボ・ユニットなのだ。
シルエット・セリカやTRUSTセリカでのツインターボの経験が豊富なだけに、エンジンのチューニングも万全だ。
ピストンは5M-G用のノーマルを使用、燃焼室を拡大して2.8mm厚のターボ用ガスケットを組み、圧縮比を7.0まで下げている。キャブレターは対策用のM型用ツインSUユニットをマニホールドごと使用。カムは74度の加工。バルブ、同スプリングなどはノーマルだ。
ツインターボを装着するマニホールドは、自製の鉄パイプ製。ウエイストゲートはシグマ製のものを使う。ふたつのタービンから出た空気は、エアリサーチ製の大型レース用空冷インタークーラーに導かれる。このインタークーラーは、ニッサンのシルビア/スカイライン・シルエットに使われているものと同じ、超大型のものだ。インタークーラーを出たパイプは1本にまとめられ、インテークチャンバーに入り、キャブへとつながる。
ブースト圧は常時1.5kg/cm2! キャブ調整による濃い燃料、大型インタークーラーによる効果的な吸気温の低下などの効果で、フルブースト時にもノッキングは発生しないというから驚異だ。また、点火時期も大幅に進角させているらしく、エンジンパワー的には、ハイブーストのL型3Lターボ以上の数値が期待できる。
この強力無比のパワーユニットに組み合わされるのはセリカXX2.8L用の5速ミッション。クラッチはフェロード製ディスクに強化プレート、TRUST製クロモリのフライホイールを装備。デフは同様に、セリカXX用の3.727を組む。
一方、足まわりも強大なパワーに対処すべく、硬められている。コイルはビックの強化型に前後とも変更、ショックはフロントにTRDの高圧ガス、リヤに同7段調整式のガスの組み合わせ。ブレーキは、前後ともフェロードのパッド/ライニングで強化。
タイヤは前ファイアストン・セミレーシングの205/60VR15、後グッドリッチ275/60VR15。ユニークなのはホイールで、なんとデ・トマソ・パンテーラ用の5穴カンパニョーロ・マグ8J-15を履いている。
排気系は60φデュアルのTRUST特注品。パワーステアリングこそ取り外してあるが、エアコンは装着したまま。外観もタイヤ/ホイール以外はまったくノーマルのままなので、一見したところ、街中を走っているごく普通のクラウン・ワゴンとまったく変わりはない。
しかし、ひとたびアクセルを踏みつければ、5000rpmでフルブーストの1.5kg/cm2に達し、ごく短時間に200km/hに達するという怪物の牙をむき出す。
こんなクルマにカモられたら、たまったものではない。ヘタなチューンド・スポーツカーやスーパーカーではブッ千切られてしまう。「羊の皮をかぶった狼」なる言い回しがあるが、このクルマはそんな比論を許さないバケモノだ。
オーナーは日常の通勤用として、毎日使っているというから、驚きは一層強い。