商用Kも遊んで楽しい! Kカーチューンはこの時代でも最高に面白い・その2【OPTION 1985年4月号より】

運転は笑っちゃいられません
ATS-BMウォークスルーバン

思わず笑っちゃいます。というのがATS-BMお得意のネーミング。だが、乗ってみると笑ってはいられない。BMオリジナルのストレートマフラーから強そうな排気音が耳をつんざく。

ウォークスルーバンのスタイルだけにユーモラスな前傾姿勢のままゼロヨンスタート。CR88のスリックタイヤがホイールスピンするのだ。1、2、3速まではけっこう加速する。80km/hくらいまではすぐ出る。ただ残念なのは4速に入れた途端、スピードのノビがストップする点だ。最高速ものびない。

これはノーマルのギヤ比が高すぎることもあるが、なんたって屏風のようなボディの高さにある。空気がドーンと当たるのだ。エンジン自体はSKコンポターボとOER40φキャブで60ps以上とまずまず。引っぱりで8000rpmくらい回るので面白い。

このクルマはショーモデル的に手掛けたので、カッコが派手だ。しかし、フロントを上げてオーバーフェンダーをおとばしくすれば、街中で目立つことウケアイだ。お店のデモカーなんかにいいゼ。


買う気にさせるシックなボディ
ノブ・ミニカ

クルマのチューニングは本当に楽しい。しかし、いくら軽とはいえ、いきなりフルチューンするにはやっぱり抵抗がある。というユーザーも多いだろう。そんな人たちは、入門としてドレスアップにチャレンジしてみてはどうだろう。外装をいじっただけでもこの通り、バッチリ決まるゾ。

ドレスアップでいくなら、ノーマルでも十分なフットワークを得られるターボ車ベースがいい。というあたりは十分に心得ていて、ミニカターボをベースにしている。フロントまわりはいかにもNOBUらしいラインを出していて、派手さはないが大人ウケする上品なイメージだ。サイドステップも、ステップというよりもアクセントとして付いている。乗り降りするときにも全く気にならない機能美といえるだろう。

サスペンションもエンジンと同じくノーマルだが、ギャルに大人気のピケットのホイールと、ダンロップフォーミュラ1の組み合わせでターボパワーに見合った、踏ん張りの効く足になっている。ストリートユースで、あるいはハイウェイでも十分に楽しめる大人のミニだ。
まるでネパール山岳を走る気分
ジムニー・カトマンズ

コイツに乗っていると、ジムニーじゃなく、クラシックなバスに乗っているような錯覚に陥ってしまうから不思議だ。ミニブームはなにもパワーやドレスアップばかりじゃない。こんなカスタマイズな楽しみ方もある。

これはボンネットだけをイメージチェンジした魔術だ。よくVWワーゲンに見られるカスタムボンネットと同じ手法である。だけど、ジムニーというベースを選んだことが面白い。それも古いボンネット型バスとはユニーク。カトマンズという愛称のとおり、ネパールやアフガンを走るアジア山岳地帯に良く似合う。

ジムニー自体はエンジンが軽でなく1L車のノーマルだけど、チューニングしてパワーを上げればもっとよく走るはずだ。でも、このカトマンズにはノンビリ運転がマッチするかもね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ホント、Kカーチューニングは自由な発想を手軽に表現できる、そんなのところに面白さがあるんですね。そして、今の時代にもピッタリと当てはまると思いませんか? ウォークスルーバンなんか、サーキットサービスにぜひ一台欲しいところです。最速サービスカーです! それにしても「こんなクルマで彼女とデートにシャレこむのもグーだ」…笑っちゃうくらい懐かしいです(笑)。

[OPTION 1985年4月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
続きを見る
閉じる