ドレスアップとは、やたらとパーツを組み込めばよいというのではない、という証拠を見せてくれたのが、このNOBUミラだ。このミラは基本的には全てノーマルパーツを使用。もちろん、ドレスアップキットやシートの張り替えなどは製作したものだが、メッキでキラキラと輝くエンジンの外装や補器類は全てノーマルだ。
メッキの処理はエンジン回りにとどまらず、足まわりにまで及んでいる。ホイールハブやコイルスプリングなどもピッカピカなのだ。そしてもうひとつ、このクルマはなんと、左ハンドル! NOBUではノーマルのミラをバラした時に、左ハンドル用のプレスラインを見つけて、よし、やってやろうと決めたそうだ。
もちろん完成するまでは大変だったが、面白いことに左のシートに乗って走り出すと、国産車に乗っている気がしないのだ。コーナーはもちろん、交差点ひとつを曲がるだけでも楽しい。室内を白一色でまとめ、メーター類も作り直しているせいもあって、コケティッシュなヨーロピアンカーに乗っている気分だ。あとは左右のフルステアリング時の切れ角を均等にすればパーフェクト。630ccのエンジンでフットワークはグッド。
軽にも純正ターボが登場してから実に速くなった。それにもまして、チューニングがしやすくなった点が大きい。この三峰ミラもパワーは強烈だ。ミラ用にはほとんどSKコンポが使用されるが、それぞれのチューニングは異なる。こいつはレブリミット9000rpmまで回せるフルチューン。ゼロヨンスタートではパワーにステアリング系が負けて強力なトルクステアが発生する。
2速、3速とシフトアップする瞬間、アクセルのオンオフで左右に振られる。しかし、速さバツグン。4速ではガスがかぶり気味でフケ上りが鈍くなったが、17秒台をマークするのだ。ターボのブースト圧も1.5kg/cm2まで上がった。4速の吹けが回復するや、スピードもグングンのびていく。
「こりゃ150km/hはかたいな」と思った瞬間、エンジンがブロー。メカニックによると設定圧は1.3kg/.cm2だったのに上がり過ぎたのが原因。その1.3kg/.cm2でもこのくらいの性能は出るというから、軽というよりスーパーミニだ。こんなのが街を走り回れば、そこらのスポーティカーなんかコケにされるだろうね。
今回の試乗で一番、サスペンションのしっかりしているのが、このプローバ・レックスだ。というのも、ラリーで活躍する清水和夫選手のお店だけに、足まわりに力が入るのも当然。スラロームしても、そのコーナリングは安定している。エンジンがノーマルのため(マフラーのみオリジナルの42.7φ)パワフル感こそないが、ドリフト状態になってもファルケンFXタイヤに無駄なくパワーが伝わる。
2WDと4WDの差はゼロヨンスタートばかりでなく、スラロームでも出る。大きくステアリングを切った時、2WDならやや前のめりになるけれど、4WDならリヤも踏ん張っている。姿勢が安定しているのでアクセルも開けられる。ただ4WDの場合、ステアリングが重くなるのはしかたない。
このレックスの足は実はスバル・ジャスティのストリート用だ。コイルスプリングはノーマル。ダンパーの容量が1クラス上なのも、十分な剛性がある理由だろう。このくらいサスがしっかりしていると、どうしてもノーマルエンジンが物足らない。ホントは足が勝っているくらいがいいのだけど、欲が出てきてしまう。プローバではオリジナルのピストンを製作して、650ccくらいにしてみたいといっているので期待したい。
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おっと! 御大:清水和夫親分(和男は誤字ネ)もプローバとして登場しました(笑)。clicccarでは紹介していませんが、この時代のタイヤテストは清水和夫さんが寄稿しているんですね〜。そのうち清水さんの記事も紹介できるかも、です。では、次回その2でも元気で楽しいKカーチューンドを紹介します!
[OPTION 1985年4月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)