雪上におけるマツダAWDの優位性とは?

しっかりと雪が積もった路面でFFとAWDの違いを試すことができました。

今時、前輪だけで駆動するFFでも、車両のトラクションコントロールとスタッドレスタイヤ、スタビリティコントロールやABSのおかげで、難なく走ることができます。

極寒の地で、生命に関わる脱出劇の可能不可能の話ではありませんが、FFのCX-3とAWDのCX-8での走りの違いが意外なほどわかりやすかったのでお伝えします。

前述の通り、FFのCX−3も想像以上に雪道を難なく走ってくれます。

かたやAWDのCX-8は、それにさらなる価値が付与します。

それは安心感です。

緩いカーブで、アクセルやステアリングにかける「気遣い」がAWDのほうが少なくて済むのです。

ステアリングを曲がりたいだけ切る、加速したいだけアクセルを踏む、それがAWDのほうが問題なく実現するのです。

今回は30分程度の短距離ドライブですので、それはそれで「多少の違い」にしか感じませんでしたが、それを一晩かけて一山超える、といったシチュエーションなら、到着時の疲労感には大きな差が出るだろうと想像に難くないものです。

それは、ゆっくり走ろうが、急ごうが、関係ないでしょう。

疲労が少なく走れるというのは安全に直結します。

雨の日でも同じようなことが想像できます。

ということは、ドライ路面での通常の走りにおいても、気が付かない範囲で気を遣っていることが疲労に繋がっている可能性もあります。GVCの効果が比べないとわからないくらいながら、長距離を走ると差が出てくるかも知れません。今度、試してみたいものです。

CX-8は、マツダの国内ラインアップ中の最上級モデルでもあり、荒れた路面、轍などの影響を最小限とし、余裕の走りが長距離ドライブでの安心感に繋がることは間違いないでしょう。

     

ただ、CX−3はCX-8に比べ、サイズや重量が小さいので、自分がコントロールできる実感は持てます。これは駆動方式の違いとは関係ない部分で、余裕があるけど実感しづらいCX-8より、気持ち良さも感じられます。

 

車両の挙動に差が出やすい雪上での試乗は、思わぬことに出会えることがあります。が、思わぬ動きに繋がることも多いので、どんなにデバイスの性能が上がってもタイヤのグリップ力以上には止まれないことは常に頭に置いて運転しなければならないことも改めて感じました。

(文:clicccar編集長 小林 和久/撮影:前田 惠介)

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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