そうだ、キャノンボールをしよう!前編に続き、後編ではいよいよゴールへ向けひた走るマシンたちの雄姿をお届けいたします。誰が、どのマシンがトップでチェッカーフラッグを受けたのか? 早速ドーゾ!
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クライマックス激走企画 CANNONBALL
湘南・江の島海岸→日本海、オレたちは走り続けるゾ!
【RX-7ミスコース。2輪、そしてOPT・Zもエンジン不調!? 】
スタート後2時間、中央道ルートのRX-7は、すでに勝沼ICを降り甲府バイパスをひた走る。中央高速へは平塚、厚木から津久井を経て、相模湖ICから乗り入れた。が、市街地で先行したGSX刀を捕らえるべく、追い上げたのはいいが、厚木付近でミスコース。10分のロスを背負う。
GSX刀は予期せぬクラッチの不調に襲われていた。クラッチストロークが徐々に小さくなり、ほとんど切れなくなっていたのだ。「原因は…? ともあれ、チェックは高速を走りきってからだ」。が、エンジンの調子もおかしい。メタルがイカレ気味なのか、全開にすると2ストロークのような白煙を吐きながら加速するのだ。巡航速度を100km/hほどに落とす。
東名を行くシャンテとZは…? さすがに深夜の東名は大型トラックであふれ、気分よく全開とはいえない。シャンテならばトラックの間をすり抜けたり、路肩から一瞬のうちに抜き去り、ハイピッチで先行することも不可能ではない。が、そこまでマナー無視でカミカゼをやるわけにはいかない。たとえOPTステッカーを貼っていなくとも、だ。
シャンテは基本的に、路面さえ良ければ走り味に文句ない。4本のピレリP7がピタッと路面に吸い付く。が、ひとたび荒れた路面では、マシンは跳ね飛びながら疾駆する。軽くリヤが飛び上がるごとに、タコメーターの指針も数100rpm跳ね上がるのだ。バックミラーは激しい振動で用をなさない。遮音に対する配慮が皆無の車内は、エンジン、ギヤノイズが充満し、ヒューンヒューンと、独特のCDIの悲鳴が耳を突く。
常人ならばその音に圧倒され、「今にも壊れるんじゃないか?」との不安から、とてもアクセルを踏みっぱなしには出来ないだろう。だが、気を決して踏めば、速い! 特に、100km/h→200km/hまでの加速は、ノーマルカーの1速全開の加速以上なのだ!
が、東名上でシャンテは、その致命的な弱点を露呈させはじめた。航続距離が短いのだ。燃料タンクはわずかに28Lしかない。5km/Lとして、満タンで走れる距離はわずかに140km。1時間も走らずして、ガス補給を要求されるのだ。
午前2時、シャンテは2度めのガス補給で牧之原SAに滑り込んだ。走行距離208km。同時刻、OPT・Zは、これもエンジン不調ながらシャンテより30kmあまり先行し、150km/hで走行していた。また、16号線から関越を目指したコロナは、その頃ようやく川越ICに辿り着いていた。走行距離90km。
午前4時、OPT・Zは淡々と走る。エンジンは時折、気まぐれに吹くが、4500rpmから上がバラつくのだ。原因は燃料増量システムか? しかし、どうしようもない。ブーストは0.4kg/cm2! これでは、ノーマルターボ以下だ。こうもエンジンが不調だと、心なしかデフやミッションまでが心配になってくる。
「デフのノイズが大きいようだけど、オイルが抜けていないだろーなぁ」。ともあれ、マシンをいたわり、ハーフアクセルで150km/hをキープする。ハンパなポジションだけに、足首が痛みを訴えだしている。
隣でナビを兼ねるカメラマンがつぶやく。「ターボの効かないターボ車ほどミジメなものはない。ターボの重さが残るのみ」。ただ、抜かれたクルマは1台もいない! 北陸道との分岐点、富山まであと233km!