日産 IMxは先進技術と和の融合【東京モーターショー2017 コンセプトカー・デザイン速攻インタビュー】

東京モーターショーに出展されるコンセプトカーから、各社注目車をピックアップ。担当デザイナー氏に速攻インタビューを試みました。第4回は日産IMxです。

── はじめに。一見スポーティなリーフにも見えますが、コンセプトはどこにありますか?

「実は日本的なアプローチなんですね。今後自動運転で安全性が飛躍的に高まった時代には、従来のようにクルマの内外を断絶するのではなく、外を感じながら走るようなことも可能なのではないかと。あたかも和室のような発想からスタートしました」

── それはエクステリアにも言えることですか?

「はい。旧来からの動物の筋肉的な発想ではないスポーティさです。たとえば、フロントグリル両端の赤色は着物をイメージしているのですが、光を受けてほのかに浮かんだ赤色がボディを回る。そんなところからスポーティさを表現したいと考えました」

── フロントフェンダーなどのレイヤー状の表現もその一環でしょうか?

「着物だけではなく、日本独自の薄く軽いものを重ねる文化をイメージしています。シートのヘッドレストは日本の組木からの発想で、最新の3Dプリンタを使い、木では再現不可能な新しい造形に落とし込んでいます」

── 広いドア面は、凹面になっているのが意外です

「一般的にはドアからリアにかけてボリュームを持たせるところですが、逆にドア面の量感を減らすことでリアのボリューム感を上げる試みですね。色も、シルバーに近い微妙な白とし、リフレクションではなく陰影でボディを見せたかった」

── ホイールにも赤が使われています

「この赤は縦面に入れていて、真横からは見えない演出です。イメージは漆塗りですが、こうした要素をいくつも散りばめながら、まったく新しいスポーティさを模索したわけです」

── 本日はありがとうございました。

(語る人)
日産自動車株式会社
グローバルデザイン本部
エグゼクティブ・デザイン・ダイレクター
田井悟 氏

(インタビュー:すぎもと たかよし)

【関連リンク】

【東京モーターショー2017コンセプトカー・デザイン速攻インタビュー】

第1回「トヨタ Tj CRUISER」
https://clicccar.com/2017/10/26/524603/

第2回「ダイハツ COMPAGNO」
https://clicccar.com/2017/10/27/525146/

第3回「三菱 e-EVOLUTION CONCEPT」
https://clicccar.com/2017/10/29/525927/

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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