マツダでもっとも長命なコンセプトカーが「RX500」、開発記号「X810」でしょう。
1970年東京モーターショーでデビュー、ひとりの自動車ジャーナリスト(躊躇せずジャーナリストとお呼びします。私自身、まだライターでいます)、小林彰太郎さんが試乗され、現在も健在のはずです。
RX500は、マツダ(当時は東洋工業)の50周年記念プロジェクトですが、同社の最先端技術の実証も意図していました。4つの目的は
1.プラスチックボディの開発
2.高性能2ローターとマルチローター RE
3.空力デザイン
4.REのイメージにふさわしいデザインとパッケージング
エクステリアで選ばれたのは、“ブレッドヴァン(パン配達車)”と形容されるルーフが後端まで伸びた空力形状で、粘土モデルでは抵抗係数0.314を記録しました。
インテリアで興味のあるのが、3種の候補のうち、もっともGT的を選んだことです。これは、メルセデス-ベンツの実験車C111にも共通します。
X810は3仕様を想定しました。RAモデルは10A・2ローターベース、RS性能型は12A・2ローター、そして3RS・500cc × 3ローターです。一台だけのRX500は、12Aパワーでしたが、小林さん、セカンドギアで120km/hまで加速、6000rpmからパンチを食った様な加速と形容されていました。
フレームは、製作容易な鋼管スペースフレームに樹脂ボデイ、前ヒンジで上方に開くガルウイング風ドアです。長身の小林さんには上、前後ともに窮屈だったとのこと。レーシングタイプのサスペンションとタイアとしては、乗り心地はヘビーGT級だったそうです。
RX500としては、イエロー・下部ブラックから、グリーン、そしてシルバーがかったブルーとお化粧直しをしてきました。動態だといいのですが、と羨ましがりはしません。私もマツダRE再生エンジンを載せたプロトに載せていただいたのですから。最近、すっかり綺麗になっていました。何時かお話しましょう。
(山口京一)