マツダが次期モデルに採用する新発想プラットフォームは「人間中心の発想」【SKYACTIV-X試乗会】

マツダの新世代エンジン「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」の試乗用に用意されていたテスト車両には、シャシー関係の新技術も投入されていました。

このシャシー関連の新技術の根底にあるのは「人間中心の発想」と銘打った考え方。人間は歩くときに骨盤と上体を逆向きに動かしてバランスを取っていますが、従来のクルマの設計ではサスペンションはサスペンションということが色濃い設計が行われていましたが、新しいプラットフォームではバネ上(サスペンションより上側)が球体に乗っているように連続的で滑らかな動きを目指しています。

それを実現するために行われたのが、ばね下からバネ上に伝える力の波形を滑らかにすること、力の方向をぶれずに単純化すること、4輪対角の剛性変動を抑えることだといいます。

この発想が取り入れられたシートはクッション前方を持ち上げられる調整機構が付き、クルマの動きがシートに伝わった際にポイントとなる部位の剛性アップが行われています。短い試乗でしたがシートに違和感はなく、しっかりホールドされている印象がありました。シートについては、製品化されてから長距離試乗でさらにチェックしたいところです。

従来、ポイントごとの強化を行ってきたボディ骨格は剛性部分を連続させ、前後対角に配置されたダンパーの力の伝達を重視した構造に変更。サスペンション支持部の適正化やサスペンションアームの取り付け角度の増大、タイヤの上下バネ低減(タイヤでの入力吸収)を行っていました。

乗り心地での効果は大きく、クルマ全体の揺れと振動が上手にいなされています。荒れた路面を走ってもブルブル感がなくなり、ピシッとまとまった乗り心地となっています。

この細かい領域での振動抑制はタイヤのセッティングによるものが多いと感じます。タイヤはもちろんタイヤメーカーが作っていますが、マツダからのリクエストを反映したセッティングとなっています。

高速コーナリングでは、ねらったクリッピングポイントに正確にクルマを持っていけます。乗り心地を確保しつつハンドリング面でも正確さを得ているのは非常に好感が持てます。

先進的なエンジンと進化したプラットフォームを採用するのは、おそらくは次期アクセラです。そのスタイリングは東京モーターショーである程度のものが見られることでしょう。

(諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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