【新車】VTECエンジンと軽量ボディのホンダ N-BOXを公道試乗。まるで全高が下がったような軽快な走り

試乗ステージとなったのは横浜みなとみらいエリア。某・自動車メーカーのグローバル本社の近くでした。偶然ですが、試乗車のナンバーは「11-23」。偶然の語呂合わせに、ほんわかとした気持ちになりつつ、ハンドルを握ります、ペダルを踏み込みます。

第一印象として驚かされたのは、パワートレインのリニアリティです。今回、ロングストロークタイプの新エンジンが搭載され、高回転域(4500rpm以上)でのパワーを確保するためにVTECというホンダ独自の機構が採用されていますが、VTECがパワーゾーンに入っていなくても十分以上のトルクを感じます。

さらに、トランスミッションはCVTですが、アクセルオフでの空走感も抑えられていて、アクセル操作だけで速度コントロールをしやすくなっているのです。

言い方を変えると、キビキビと走る印象が強い仕上がり。このあたり、車両重量が従来型と比べて80kgも軽くなっているという部分が効いているのでしょう。N-BOXのようなスーパーハイトクラスでキビキビ走ろうと思うと、ターボエンジンが必須で、NAエンジンでは、少々の我慢は仕方がないと思っていましたが、この新パワートレインはそうした考えを過去のものにします。高速道路での余裕を考えるとターボエンジンの必然性もあるでしょうが、少なくとも街乗りにおいてはNAエンジンで力不足を感じることはないはずです。

ハンドリングについても、ひらりひらりと向きを変えるような軽快さがありながら、全高を感じるような不安定感は皆無。まるで全高1600mmクラスの軽ハイトワゴンのような重心の低さを感じます。こうした挙動には、前後にスタビライザーを備えることで、乗り心地(ピッチング)とコーナリングの安定性(ロール)をうまくバランスさせたシャシーセッティングを感じます。

しかもスライドドアのボディでは剛性不足を感じることも多いのですが、ギャップなどを超えたときでも、そうしたネガはありません。聞けば、新型N-BOXではドア開口部に電極を転がして連続的に溶接する工法(シーム溶接)を採用しています。カットモデルで確認してみると、ほとんどがスポット溶接で、シーム溶接はごく一部ですが、それでも十分にそボディのしっかり感を生み出しているのでしょう。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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