軽自動車初のVTECエンジンを積んだのはS660ではなく、新型N-BOX!

「ニッポンに最適化したノリモノ」として2011年12月に誕生した初代N-BOX。そこから始まったNシリーズとして初のフルモデルチェンジが実施され、N-BOXが第二世代に進化しました。一見するとキープコンセプトで、骨格部分はキャリーオーバーのように感じてしまうかもしれませんが、すべてが一新されたといえるほど大胆に進化した、まさしくフルチェンジになります。

その象徴といえるのが新しいエンジン「S07B」型ではないでしょうか。

ボンネットを開けてみても、旧型が載せていた「S07A」型に対して、どのように進化したのかわかりづらいのですが、カタログの諸元表をみれば一目瞭然。ボア×ストロークが異なっています。

●新旧ボア×ストローク比較
S07A:64.0mm×68.2mm
S07B:60.0mm×77.6mm

もともとロングストロークなプロファイルのS07エンジンですが、新型では小排気量ガソリンエンジンでは考えられないほどのロングストロークになっています。しかし、ロングストロークにすることがメインテーマではありません。ボアを小さくする(小径化)することが、新型エンジンの狙いといえます。

ボア小径化により燃焼室をコンパクトにすれば、表面積を小さくすることができ、熱損失を減らすことができます。つまり、熱効率が向上するのです。先代モデルに搭載されていたS07A型エンジンもボア小径化によるメリットを考えたプロファイルといえますが、そうした考え方をさらに推し進めたのが新しいS07型エンジンといえます。限られた排気量の軽自動車で、燃費と走行性能を両立するには効率アップは重要ですから、こうした進化は当然でしょう。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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