世界初のカーナビをホンダ・アコードの「エレクトロ・ジャイロケータ」とするのか、トヨタ・クラウンするのか、議論が分かれるところですが、ホンダは前者を1981年に商品化された世界初の「自動車用地図型ナビゲーションシステム」と謳っています。
「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」は、デジタルデータによる地図ではなく、透過型の地図シートが採用されているのが特徴。
さらに、クルマの移動方向を検知する「ガスレートジャイロ」が採用された方向センサーを世界で初めて自動車用に実用化し、走行距離センサーやマイクロコンピューターなどの組み合わせにより、移動方向と移動量を検出して現在位置を計算していました。
これにより、透過型の地図シートがセットされたブラウン管に、現在位置と自車の方位、走行軌跡を表示、ドライバーが進むべき経路の選択ができるようになりました。
なお、1987年に登場したクラウンのカーナビ(デンソー製)はCD-ROM式で、現在のカーナビの原型ともいえます。こちらは、先進装備「世界初エレクトロマルチビジョン」を謳っていました。
いずれにせよ、カーナビの礎を築いたホンダの「エレクトロ・ジャイロケータ」で間違いはないはずで、3月2日、「IEEE(アイトリプルイー)マイルストーン」に認定されたことが発表されました。
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)とは、米国に本部を置く、電気・電子・情報・通信分野における世界最大の学会。世界190か国以上に42万人を超える会員を擁する非営利団体で、コンピューター、バイオ、通信、電力、航空、電子などの技術分野で指導的な役割を担っています。
ホンダの「エレクトロ・ジャイロケータ」が自動車業界で初めて受賞した「IEEEマイルストーン」は、電気・電子・情報・通信分野において開発から25年以上経過。
地域社会や産業の発展に多大な貢献をしたとされる歴史的業績をIEEEが認定する制度として1983年に制定されて以来、2017年2月までに世界で174件が認定されているとのこと。
今回の認定は、「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」を開発したことにより、地図型自動車用ナビゲーションシステムが世界中に普及し、ナビゲーションシステムの世界標準を築いたという功績が認められたことによるものです。
(塚田勝弘)