マイナーチェンジで迫力フェイスになったダイハツ・ムーヴカスタムをお台場でドライブ

平日ということもあって道路は空いていましたが、それでもお台場エリアの制限速度を考えると、確かめることができるのは信号からのスタードダッシュやタウンスピードでのハンドリングが中心になります。

そうしたシチュエーションで試乗したのは、ムーヴカスタムRSハイパーSA III(2WD)。空冷インタークーラーを備える3気筒DOHCターボとローギアードなファイナル(最終減速比)のCVTを組み合わせた前輪駆動のグレードです。

試乗前にエンジンフードを開けて、しっかり導風路を備えたインタークーラーの姿を確認すると刺激的なフィーリングを期待してしまいますが、小排気量ターボとは思えないジェントルな乗り味。とくにファイナルを下げている効果なのか、信号ダッシュではターボ過給(ブースト)が高まる前からブーストが高まった状態までスムースに加速感がつながります。

まさに”ターボらしいトルク感と、ターボラしからぬレスポンス”を両立していることが、発進しただけで感じられるのです。

さらにステアリングにある「PWR」ボタンを押すことでCVTの変速比をローギアードに変化させ、ダッシュ力を強めるといったことも可能。よりレスポンスに優れた走りを味わうことができるといった部分は、ムーヴが持つ変わらぬ魅力といえそうです。

一方で、サスペンションやボディをしっかりさせたことがセールスポイントのムーヴですが、カスタムRSハイパーSA IIIが標準装備する15インチタイヤは、若干重さを感じさせるもの。具体的には、サスペンションが伸びたときの収まりにバタつき感が気になるシーンもありました。フラットな舗装路であれば、気になることはないですし、むしろ制限速度内であればピタッと路面を捉えているような好姿勢でコーナーを走り抜けるので、スポーティグレードらしい感覚を味わうこともできるでしょう。そうして路面とタイヤの接地感がハマった状態では、全幅に限りのあるハイトワゴン軽自動車とは思えない安定性を感じます。

先進安全装備「スマートアシストIII」については、当然ながら市街地で試すことはできませんでしたが、シャープになったルックスから期待される以上のダッシュ力や15インチタイヤらしいコーナリング性能の片鱗を感じることができたのです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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