見た目を競うドリフト競技の審査しているのは、実は機械! 将来の問題点は?【D1GP】

ただ、やっぱり寂しい面もあります。それは「機械審査システムからは、新しいトレンドは出てこない」ということです。D1の歴史は17年目。これまで、さまざまな新しいトレンドが出てきました。スピード重視の時代から、角度、白煙、アクセル全開音、ケツ進入など、新しい走りが出てきて、それを審査員が評価して歴史が築かれてきたのです。でも、機械が審査するようになったらどうでしょう? 機械は飽きません。人間だったら、みんな同じような走りをしていたらだんだん飽きてきて、新しい試みを評価したりすることがあります。昔流行ったスタイルのリバイバルだってありえるでしょう。でも、機械が審査しているかぎり、そういうことは起こらない。設定されたアルゴリズムのなかで、理論的にもっとも高い得点が出せる走りのスタイルに収斂されていくだけでしょう。これはちょっと気になるところです。

DOSSが導入された現在のD1の単走は、昔と比べてつまらなくなったかというと、そうでもないです。現在の機械審査には、機械審査ならではの面白さがあります。ただ、ちょっとマニアックな気はしますね。機械審査のことをわかっていないと楽しめない。昔はもっと直感的に楽しめました。やはり、今後も機械審査システムを進化させていく努力は怠ってはいけないでしょうね。

いっぽうで、追走に入ってからの審査は、ほとんど人間の審査員が行っています。まだ機械審査にはなじまないんですね。

なおD1GP第4戦は、TOYO TIRES GLION TRUST RACINGのGT-Rに乗る末永正雄選手が、追走トーナメントの結果、優勝しました。ちなみに末永正雄選手は、機械が審査する単走でも最高点をマークしています。機械もやっぱり見る目があるようです。

(まめ蔵・写真提供:サンプロス)

【関連リンク】

D1GP第4戦の模様は9月発売予定の『D1GP OFFICIAL DVD 2017 Rd.4』に収録されます。

ビデオオプションの情報は公式サイト(http://www.d1gp.co.jp)へ。また、D1グランプリの詳しい情報は、D1公式サイト(www.v-opt.co.jp)まで。

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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