【ネオ・クラシックカー グッドデザイン太鼓判!】第6回・スバルの新時代を築いた世界戦略車。スバル・レガシィ(初代)

80〜90年代の日本車からグッドデザインを振り返るシリーズ。第6回は、スバルが世界市場を念頭に新開発したセダンとワゴンに太鼓判です。

1989年、プロトタイプが10万km世界速度記録を樹立。その高性能を引っ提げ、まったく新しい国際戦略車を目指して登場したのが初代レガシィです。

ゆるやかにウエッジしたボディに、すべてのピラーをブラックアウトさせたキャビンを載せ、空力に有利なサッシュレスドアを採用することで、落ち着きと先進感を絶妙にブレンド。

一方、幅広で力強いショルダーラインにブリスターを巧妙に溶け込ませ、比較的スリムなボディに骨太さを加味、このクルマが世界基準であることをしっかり示します。

ワゴンは、リアにキャビンのボリューム感を持たせたプロポーションが新鮮で、厚みのあるルーフとともに、従来の国産ワゴンにはないダイナミックさを打ち出しました。

インテリアでは、操作類を大きく囲ったインパネが先進感と骨太感をうまくミックスさせ、丸味を意識し、たっぷりと量感を持たせたシートが高速走行時の緊張感を和らげます。

端正で均整のとれたスタイルは、杉本清チーフの元、のちにSVXを手掛けるG・ジウジアーロが、スケッチ段階まで参加したことが影響しているように感じられます。太いモールで引き締まったボディも同様に。

レガシィは、より洗練された2代目や4代目のデザインが評判ですが、それは初代が築いた、バランスよく骨太な提案があってのことなのです。

●主要諸元 スバル レガシィセダンRS(5MT)
型式 E-BC5
全長4510mm×全幅1690mm×全高1395mm
車両重量 1290kg
ホイールベース 2580mm
エンジン 1994cc 水平対向4気筒DOHC16バルブターボ
出力 220ps/6400rpm 27.5kg-m/4000rpm

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
続きを見る
閉じる