スケートリンクでの先代モデルとのチョイ乗り比較でも感じられた進化度【グッドイヤー アイスナビ7】

試乗車はトヨタC-HRです。まず発進ですが、スケートリンクは思っている以上に滑りやすい状況でした。まあ、滑ることが目的の場所なので、あたり前といえば当たり前です。

けっこう気をつけながらアクセルを踏み込みましたが、「アイスナビ6」の発進ではメーター内にあるトラクションコントロールが作動していることを示すインジケーターが点滅してしまいます。

「アイスナビ7」での発進はあえて「アイスナビ6」のときと同じようなアクセルコントロールを行いましたが、びっくりすることにトラクションコントロールのインジケーターはまったく反応せずに、しっかりとした発進を見せます。

とはいえ、そこからちょっと余分にアクセルペダルを踏むと、トラクションコントロールは容赦なく反応します。トラクションコントロールが効いているときの前への進み具合は「アイスナビ7」ほうが少し力強かった印象があります。

スタート後は、氷上に置かれたパイロンを左→右とステアリングを操作して抜けていくコースです。速度は8km/hと指定されました。ステアリングはロック・トゥ・ロックで切ります。つまりタイヤは最大まで切れます。

タイヤが大きく切れると回転半径が小さくなりそうな印象がありますが、じつはタイヤのもっている力の限界を超えるとタイヤ切れ角が大きいほうが曲がりづらくなります。タイヤの持っている力は路面が滑りやすいほど小さくなりますので、氷上でステアリングを大きく切ると曲がりづらくなるのです。

新旧で同じように走りましたが、これは明らかに「アイスナビ7」のほうがよく曲がりました。適度な切れ角まで戻してあげると、よりいっそう力強く曲がります。

ブレーキのステージも用意されていました。ブレーキ開始の指定速度が15km/hで、そこからABS作動のフルブレーキで停止まで踏み続けるというものです。

しかし、助走区間が短いこともあり、指定地点で速度を調整するのがなかなか難しいのです。指定速度が15km/hですから、1km/h違っても割合で言えば7%程度の差です。このため、停止距離での明確な差で語るのは難しいと言えます。

ただ言えるのは、「アイスナビ7」のほうがABS領域を過ぎてロック領域(約10km/h以下ではABSは作動せずロックブレーキとなる)に入ったときの減速感が強かったこと。最後の最後でガツンとしたフィーリングを持っているのは安心感があります。

今回の試乗ではアイススケートリンクで距離も短かかったので、限定的なインプレッションとなりましたが、先代「アイスナビ6」よりも進化を感じることができました。次はぜひ、しっかりと雪が積もった場所で、積雪でのインプレッションを行うと同時に、ドライ路面、そしてウエット路面でもそのフィーリングをチェックしたいと思います。

(諸星陽一)

【関連リンク】

初代「アイスナビ」の登場から20年目を迎えたグッドイヤーのニューモデル【グッドイヤー アイスナビ7】
https://clicccar.com/2017/07/11/487910/

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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