「クルマを楽しむ」とはどういうことか教えてくれるグレートレース【Great Race フランクリン〜オーバーン】

アメリカの真ん中あたりに来てしまいました。

「Great Race」の取材のため、日本からおよそ1日近いフライトと乗り継ぎを経てやってきました。

グレートレースは、いわゆるクラシックカーレースで、公道を使ったラリー形式の「クルマを走らせる楽しみ」イベントです。

ここに、自動車評論家の国沢光宏さんがスバル360を持ち込んで参戦しているからというわけです。

東京から飛行機でミネアポリスで入国、そこから国内線で、あのインディで有名なインディアナポリス空港まで乗り継ぎ、そこから4日目のゴールであるフランクリンの町へ向かいます。

ゴールの町では、町を挙げてのクラシックカーショーが開催されていました。

町中の人々が中心部の広場に集まり、そこに止められたヒストリックカーに見惚れ、写真を撮り、話を聞いているのが印象的です。話を聞かれ、写真を取られる方の参加者も、自分の愛車に興味を持ってくれる人たちに優しく、時に自慢げに接して、どちらも楽しそうです。

ゴールイベントを終えてホテルに入っても終わりではありません。

メカニック役のサンコーワークス喜多見さんは、そこから車両の整備に取り掛かります。大きな問題はなかったようなので、各部の緩みのチェック、ネジ類の締め直し、各部の再確認などで時間を費やし、気付けば日が落ちる21時30分を過ぎ、22時くらいになっていました。

翌日、なんの問題もなくスタートした直後、スバル360ならではとも言える貰い事故に遭遇。車両が小さく見える遠近法の錯覚によると思われるブレーキングの遅れによる追突事故にあってしまいます。

幸い、ドライバーもコドライバーにもケガはなく、車両後部は凹んでしまったモノの走りに大きな影響はないためそのままレースは続きます。

レースはコマ図を頼りに進められます。

主催者が作成した目印と方角を頼りに、想定スピードを忠実にしてタイム差を内容に走らせる競技です。スバル360でも勝利可能な法定速度内でのタイム設定なのでどんな性能差があっても楽しめるわけです。

いくつかの判断ミスによる通り過ぎ&Uターンなどを繰り返した後、チェックポインを 何箇所かクリアし、その日のゴールへ。

ゴール地点ではまた町の人々が暖かく迎えてくれていました。

町にやってくる「移動ミュージアム」という感覚なのでしょう。皆、楽しそうに見て、声をかけてきます。とても成熟した自動車の文化を感じます。

 

クラシックカーのレース、というと、敷居が高く感じられる気もします。

確かに、クラシックカーを走ることができる状態で所有するのはけっこう大変で、私自身も断念したことがあります。

けれど、走らせることができる場があれば話はまた少し違っていて、それを楽しむ環境が何より必要なんだと思います。

日本ももう少し、なにがやりたいのかを考える社会になっていくことが必要だと感じました。

(clicccar編集長 小林 和久)

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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