トヨタのGAZOO RACINGの総代表を務める豊田章男トヨタ自動車社長。恐らく日本の全上場企業の社長の中で車の運転が最も上手い人です。
今ではすっかり「ラリーのモリゾウさん」の印象が強くなりました。モリゾウさんは何故ここまで深くラリーに関わられることになったのでしょうか。
トヨタ自動車で働く中で「自動車会社の社員として車の評価能力を身に付けたい」との考えから同社のテストドライバーのトップだった成瀬氏(故人)に弟子入りをします。ブレーキングばかりの日々など、訓練を重ねて評価能力を磨き続け、ついにはニュルブルクリンク24時間レースに参加する程の技量に。
2007年のニュルブルクリンク24時間レースへの初出場の際には既に副社長のポストにあり、本名で出場すると色々…という事でこの名前でドライバー登録されたようです。
そして、4度この過酷なレースに挑戦し、全て完走。
一周20km以上(年によって変わります)180以上のコーナーと300mを越える高低差。ツーリングカーでも最高速270kmを越えるニュルブルクリンク(鈴鹿サーキットは一周5.8km 18コーナー 高低差60m弱)だけに結構な偉業です。
また、ニュルでピットが一緒になったアストンマーチン社の当時のCEO ベッツ氏との関係は、モリゾウ選手がアストンマーチン、ベッツ選手がレクサスLF-Aでレースをするほどの関係を築き、「IQ」をアストンマーチンで販売する「シグネット」のベースとして供給するまでに発展しました。
そんな、モリゾウさんこと章男社長が「ラリーカーと出会ってしまった」のは2012年5月のお台場・メガウェブで開催された「メガウェブフェスタ」。
イベントをサプライズ訪問をした際、予定になかった新型ラリーカーのデモランに同乗をします。それは、自身が前年の富士スピードウェイでお披露目をし、ラリーにデビューして間もない86。
その際「テストドライバー魂に火が付いた」のか、これまた予定になかった自ら運転しての試乗。ドーナッツターンに果敢に挑戦しますが、これがギリギリ決まらない。
残念な結果だったイベントからおよそ半年後、秋のメガウェブフェスタにもサプライズ登場すると再び86に乗りこみます。
この時はドーナッツターンを一発で決め、周りにいた歴戦のドライバー達もこれには驚きを隠せませんでした(イベントの翌日にアメリカでスピーチしていた…などとSNSで紹介されるほど、多忙を極める人です)。
これ以降ドーナッツターンはモリゾウさんの十八番となりました。 また、このイベントでラリードライバーのトークショーに参加した際、他の登壇者にラリーへの参加を誘われます。