「トヨタ車の味作り」にラリーは欠かせない!? モリゾウ選手のラリー遍歴【今さら聞けない!ラリーのイロハ・その5】

その一ヶ月後、全日本選手権「新城ラリー」と併催された「TRD RALLY CHALLENGE」(現TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ)でラリー競技に86でデビューします。

海外ラリー参戦の経験も豊富なコ・ドライバー、竹下紀子選手のサポートもあり、このイベントを無事に完走します。

ゴール直後、竹下紀子選手に 「ラリーって面白いねぇ!」と言ったそうです。 未経験だった新しい車の楽しみ方への第一歩を踏み出されました。

モリゾウ号は派手なカラーリングにメーカーのロゴが沢山貼ってありました。これはスポンサー…ではなく、日頃トヨタ自動車を応援頂いている取引先ロゴをお礼の気持ちで貼らせて頂いたとの事でした。

格好良かったからか、この仕様のプラモデルとRCカーが現在も販売されています。

翌2013年は同ラシリーズに全戦参戦。2勝を上げクラスチャンピオンを獲得します。当初は否定的な意見もあった「社長のモータースポーツ参加」ですが、周囲に「グループ会社以外の人も」ファンとして沢山集まるの知り、容認する方向に風向きが変わったそうです。

そして2014年には前年のファン感謝イベントTGRFにこっそり展示してあった新車でTRD RALLY CHALLENGEに参戦します。

冬季にはトレーニングで雪道での走行も実践されていましたが、4度のWRCチャンピオンを獲得したトミ・マキネン氏にも師事、更なるドライビングのスキルアップを図りました。また、マキネン氏のガレージで86を4輪駆動+ターボエンジンにカスタマイズしたスペシャルマシン「GR86X」は大きな話題となりました。

そんな中で人と組織の信頼関係が構築され、若手ドライバーの育成プログラムを委託、更にガズーレーシングのWRCラリーオペレーションを一任する事となった様です。

「車の味作り 」と「クルマは道が鍛える」を頻繁に口にされるモリゾウさんにとって、世界中の様々な道路に挑むWRC参戦と現場からフィードバックされる情報は「トヨタの車を魅力的にするため」に欠かせない要素になると考えられているのでしょうか。

そして遂に、18年ぶりのWRC復帰。ヤリスWRCは開幕戦でいきなり2位表彰台を獲得し、僅か2戦目での優勝をあげました。何より「2戦連続、2台揃っての完走」と期待以上の結果を出しました。

ヤリ-マティ・ラトバラ選手はドラバーズ選手権のランキングトップに立ちました。負け嫌いのモリゾウさんですが、優勝を重ねるよりも「全戦2台完走」を強く期待している気がします。それはきっと2回目の優勝より難しい事もご存知でしょうが。

今年のTGRFでラトバラ選手と一緒に笑顔でWRカーを操るモリゾウさんが見られる事に期待しましょう。

(川崎BASE)

【関連記事】

トヨタ・ヤリス(ヴィッツ)が勝った「WRC」って、どんなラリー?【今さら聞けない!ラリーのイロハ・その1】
https://clicccar.com/2017/02/16/444791/

トヨタ優勝で盛り上がる「ラリー」って、どんなモータースポーツなの?【今更聞けない!ラリーのイロハ・その2】
https://clicccar.com/2017/03/04/444864/

トヨタは世界にWRC復帰を待望されていた!【今さら聞けない!ラリーのイロハ・その3】
https://clicccar.com/2017/03/05/446328/

意外なクルマもラリー参戦!? 国産ラリーマシン一挙紹介【今さら聞けない!ラリーのイロハ・その4】
https://clicccar.com/2017/03/10/451851/