前置きが長くなりましたが、新型プリウスPHVには、そんなワクワクを思い出させるものが用意されています。新たな装備として、動力に貢献する電気を発電するソーラー充電システム。Sグレードのみにオプションで28万800円です。駐車中に太陽光エネルギーを動力用電力として蓄えるのは量産車として世界初だそうです。
その蓄え方も凝っていて、一旦ソーラーパネルが発電した電気は占用のシステムを介して一旦ニッケル水素バッテリーに充電され、ニッケル水素がいっぱいになると動力用リチウムイオン電池へと電気が送られます。このソーラー用のシステムというのが肝で、通常のシステムを立ち上げると大きな電力を喰ってしまい、本末転倒になるとの考えからだそうです。一見ムダのようですが、そのこだわりがいいですね。
実質的にどれくらい発電するのか?というのはカタログによると「ソーラー充電システムによる駐車中充電量のJC08モード電費換算値」で1日当たり2.9km走れる電力を蓄えるんだそうです。ピンと来ないですよね。
で、お聞きした実例では「10日ほどお休み中に露天の駐車場に置きっぱなしにしていたら動力バッテリーが満充電になっていた」とのこと。何日目に満充電になったかはわからないそうですが、これはウレシいじゃないですか。カタログ値で68.2kmも走れるんですから。ガソリン車じゃありえませんよ、駐車してたら満タンになったなんて。
急速充電(これは全車に付いてます)も、いろいろ考えるとPHVにはなくていいような気がします。ガソリンで発電するよりもコスト高なケースも考えられる急速充電を使ってみるのは買ってから数回試すだけかも知れません。けれど、やってみたいという気持ちを満たすのは大事だと思います。いざとなって、ガソリンを買うには長蛇の列の時とか、急速充電した電気で誰かの元へ行けるとか、その電力を100Vにして暖を取ったり調理ができるかもしれません。「いざという時のこと、お父さんは考えてるんだよ」とも言えます。純EV車の迷惑だという意見もあるでしょうが、そもそも電気自動車も急速充電は緊急用と考えるべきと思っています。
元が取れるのか?とか考えるのもいいでしょう。けれど、趣味、やりたいことにコストをかける、それで少し環境に優しいのかなと気持ちよくなる、知らなかった発見を求めたいといった人間の、特に男性に多いのではないかと思う基本的欲求を満たすんだからいいじゃないですか。そんなの要らないというのなら、なぜこんなにネットでどの景色でも見られるのに旅行に行く人はなくならないんでしょうか? みんな実体験がしたいんですよ。
そのほかにも、11.6インチの大画面や、駐車中にスマホで空調コントロールするなど先進機能も充実していて、新たにやれることは満載のプリウスPHV。最近のクルマはつまらないと思っているかた、一度触れてみてその使い切れないほどの機能を確かめてみるといいかと思います。最新のクルマの楽しみ方が見つかるかも知れませんよ。
これからの自動車の将来を具現化して体験させる使命を持って生まれたプリウス。ハイブリッドの次は?のコピーにあるように最新のものを持ってなければならないのです。そういう意味でもソーラー充電も急速充電も必要なのだとも言えるでしょう。
(文・写真:clicccar編集長 小林 和久)