新しいプラットホームを投入し、渾身のモデルチェンジとなった新型インプレッサ。2016-2017のイヤーカーにも輝いた新型のデザインの魅力はどこにあるのか。今回はデザインのトップに話を聞きました。
[語る人]
富士重工業株式会社
スバル商品企画本部 デザイン部長兼商品開発企画部長
石井 守 氏
── まず、新たに掲げたデザイン・フィロソフィ「ダイナミック&ソリッド」の発想のきっかけから教えてください
「スバルは2014年に「際立とう2020」を掲げましたが、6つの取組み要素のひとつをデザインとしたんです。ライフスタイル・デザインとロングライフ・デザインのふたつを柱として、その中に機能とDNA、そしてカタチをしっかり表現しようと」
── それは、従来のスバル車とまったく異なる方向ということですか?
「いえ。私が30年前に入社した際に先輩方から言われたのは、スバル車はチマチマせず、いい意味で大造りに徹しろと。そういう良き伝統を言葉に置き換えたのがこのフィロソフィなんです。これまでは多少個性が薄かったけれど、その中には必ずダイナミック&ソリッドがあった。ですから、過去を否定するのではなく、今後の評価軸に芯が欲しかったのです」
── では、その中で新型インプレッサ固有のデザインテーマは何だったのでしょう
「スポーティアドバンスです。とくにセダンのG4には、激戦区の北米でスバル車を買ってもらえる明快な理由が必要でした。じゃあそれをデザインで実現しようと。北米でも埋もれない、スポーティで革新性のあるクルマです」
── ではフロントから。スバルはいまコの字のライトを表現していますが、ランプ自体の形は複雑な形状で、ちょっと曖昧に感じます
「スバル車は4代目レガシィからホークアイ(鷹の目)を表現していますが、あまりシンプルな形だと力強さが足りなくなるんですね。そこで、角を丁寧に面取りすることで、型くずれのしない強い表現としているんです」
── ヘキサゴン・グリルに進化はあったのでしょうか?
「先代初期のグリルは、薄い鉄板で周囲を巻いているようなイメージがあって、ちょっと気になっていました。そこで、新型ではアルミ削り出しのような枠を取り付けています。また、左右に伸ばしたウイングがランプ内までつながって見える工夫もあり、一体感のある表現に進化させています」
── フロントフェイス全体は先代のイメージを強く残し、若干シャープさが足りません
「インプレッサは、スバルの中でも若いユーザー層に向けて楽しさ7、安心感3くらいで考えています。そこで今回はノーズをより低く、かつ薄くすることで特徴を持たせました。BMWの3シリーズに近いですね。実はグリルも先代より立てているんです」
── フロントライト周りは少々ラインが多く煩雑では?
「そこはバンパーだけで見るのではなく、建て付け自体を変えたかったんです。たとえばヘッドランプを外して見るとハッキリするんですが、ランプ下のラインはショルダーに向けてスッと伸びている。そうしたボディの構成を見直しているんです」
── なるほど。では、後半ではサイド面からお聞きします。
(すぎもとたかよし)