フォーミュラEへの参戦を通じて量産車への技術開発を促進する独・シェフラー社

シェフラーのフォーミュラEでの技術開発は量産車へも活かされています。シェフラーはヨーロッパで開発が進む48Vハイブリッドモジュールの分野でローンチパッドと呼ばれる新技術を開発しています。

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48Vハイブリッドモジュールのローンチパッドは、内燃エンジンとトランスミッションとの間に「P2」配列と呼ばれるレイアウトで配置されます。ローンチパッドの働きで、電力のみで自動車を発進させたり、市街地での走行に必要なスピードを電力だけで維持したり、制動エネルギーを取り込むことが可能になります。

シェフラーの高電圧駆動というコンセプトは、48Vハイブリッドシステムで電力のみによる走行距離を延ばすことにつながるものです。シェフラーのP2高電圧ハイブリッドモジュールは、幅広いトルクレンジを持つメリットを生かして、燃料消費の削減やCO?排出量削減をもたらします。これは2017年の生産開始を予定しているということです。

電動車向けの駆動部品として、電動アクスルの開発にもシェフラーは取り組んでいます。

この電動アクスルは、内燃エンジンによって駆動されない軸に、電動モーターの駆動力を供給する機能を持っています。このため、電動アクスルはハイブリッド車の全輪駆動を可能にすることが特徴ですが、内燃エンジンを持たない完全な電気駆動による自動車に適用することも可能です。

さらにシェフラーは電力のみによるホイールハブ駆動という技術も開発しています。これはシェフラーが「eWheel Drive」と呼んでいるもので、都市部の小型バスやタクシー向けに適したコンポーネントです。電動モーター、パワーエレクトロニクス、ブレーキ、冷却システムなど、必要なコンポーネントをすべてホイールリムに内蔵したことが特徴です。

「eWheel Drive」によって省スペース化を図り、未来のアイディアやコンセプトを実現するためのスペースを確保することができ、操縦しやすく、駐車が簡単で、環境にきわめて優しい、未来のモビリティに相応しいメリットも兼ね備えています。

シェフラーでeWheel Drive開発プログラムを担当するゼバスティアン・ヴィールゴス氏は「これまでにeWheel Driveのための予備的開発を進めてきましたが、現実のプロジェクトへの導入をスタートできるところにまで到達しました」とeWheel Drive開発進度を説明しています。

48Vハイブリッド車の登場が近づく2017年を迎えて、フォーミュラEを通じて電動車の駆動系に新しい技術を提供するシェフラーの動向に注目が集まっています。

(山内 博・画像:シェフラー)