ペースを下げロズベルグを4位以下に落とす1位ハミルトンの戦略、結果は?【2016F1最終戦アブダビGP】

20周目、1回目のタイヤ交換を終えたロズベルグ選手がまだタイヤ交換を行っていないフェルスタッペン選手に追いつきます。チームからロズベルグ選手に「フェルスタッペンは後数週でピットに入るから、無理に抜くことはない。」と無線で指示がでましたが、ロズベルグ選手はプッシュ。ホイール・トゥ・ホイールの超接近戦で(タイヤとタイヤの距離が10cmもなかったほど!)、フェルスタッペン選手をオーバーテイク! きっと一番手を走るハミルトン選手に追いつきたい一心だったのでしょう。もう、かっこよすぎる!!

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最終スティント、とんでもない出来事が起こりました。ハミルトン選手のペースが上がりません。ロズベルグ選手、そして3番手を走るセバスチャン・ベッテル選手(フェラーリ)がどんどん近づいてきます。マシントラブルか? と思った矢先、ハミルトン選手のペースはいつも通りに。そしてしばらくするとまたペースダウン。一体どうしたのでしょうか。

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実はこれ、ハミルトン選手の戦略だったのです。冒頭にも言いましたが、ハミルトン選手のチャンピオン獲得条件は優勝してロズベルグ選手が4位以下。わざとペースを落として、ロズベルグ選手を後続とのバトルに巻き込まれるようにしたのです。でもスローペースにするということは、ロズベルグ選手にハミルトン選手を抜くチャンスを与えているのも一緒。かなりリスクの高い戦略ですが、さすがハミルトン選手。抜かれそうな所までロズベルグ選手が接近してきたら、スーッとペースを上げるのです。この状況にはエグゼクティブディレクターのパディ・ロウも思わず「ルイス、ペースを上げてくれ。」と指示を出すほど。

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トップから3.5秒の間に4位までのマシンがいるという状況が続くなかロズベルグ選手は2位を見事に守りきり、F1参戦から11年、ようやく初のワールドチャンピオンを獲得しました! やったー!! チェッカーフラッグ後、ホームストレートでドーナツターンを披露し喜びを爆発させたロズベルグ選手。ポディウムでは「私の妻にこのチャンピオンを捧げたい。父と同じことを成し遂げられて嬉しいです。」と涙を浮かべていました(お父さんは1982年F1ワールドチャンピオンのケケ・ロズベルグ)。

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ハミルトン選手の最後まで諦めない気持ち、そしてロズベルグ選手の意地。「F1ってやっぱり面白い!」と思わせてくれた、最高の最終戦となりました。

全21戦と長かったシーズンも終わり、今は少し抜け殻状態ですが(笑)、来シーズンのF1を楽しみに待ちたいと思います!

アブダビGPリザルトは以下の通りです(ポイント圏内のみ)。

順位/No./ドライバー/チーム
1/#44/ルイス・ハミルトン/メルセデス
2/#6/ニコ・ロズベルグ/メルセデス
3/#5/セバスチャン・ベッテル/フェラーリ
4/#33/マックス・フェルスタッペン/レッドブル
5/#3/ダニエル・リカルド/レッドブル
6/#7/キミ・ライコネン/フェラーリ
7/#27/ニコ・ヒュルケンベルク/フォースインディア
8/#11/セルジオ・ペレス/フォースインディア
9/#19/フェリペ・マッサ/ウィリアムズ
10/#14/フェルナンド・アロンソ/マクラーレン

(yuri)

この記事の著者

yuri 近影

yuri

2006年のF1日本GPを観に行ってから、どっぷりF1&ジェンソン・バトンにはまってしまったF1女子。F1が大好きですが、車の運転は下手(小林編集長お墨付き)、メカニズムも苦手、だけどドライバーの知識と愛だけは自信あり! もっと気軽にF1を楽しんでもらいたい、好きになってもらいたいという気持ちで執筆活動をしています。
趣味はバトンの追っかけと、F1海外観戦。現在は新米ママとして子育てに奮闘しながら、のんびり記事を更新中。あたたかーい目で見守っていただけると嬉しいです。
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