さて、フロントに2つのモーター、リヤに3.5リッターV6ツインターボとワンモーターという構成のパワートレインを持つNSX、そのシステム最高出力は581馬力と発表されていますが、いつでもそれだけのパワーを出すわけではありません。
ダイナミックモードと呼ばれる機能で選択できる4つのドライブモードの中で、もっともハードな「トラック」モードを選んで、なおかつブレーキペダルを踏んだまま、アクセルペダルを踏み込む「ローンチモード」にして初めて581馬力を発生することになるのです。
つまり実質的に公道でフルパワーを発揮するという機会はないといえます。それではスーパースポーツらしいカタログスペックは飾りなのかといえば、そうとは言えないのがNSXの魅力です。
そもそもNSXのハイブリッドシステムはハイパワーを第一義としているものではないからです。フロントのツインモーターユニットは駆動力の上乗せにも使われますが、左右のトルクベクタリング(駆動力移動)によるハンドリングの向上がメインの役割。そして、そのハンドリング性能は低速域でも味わえるのがNSXの魅力というわけです。