【公道試乗】税込価格2370万円のホンダNSXはエブリデイスーパーカーなのか?

そのフロントモーターは、左右合わせて74馬力ものポテンシャルがあり、エンジンを使わずにフロントだけでEV走行することも可能。ダイナミックモードで「クワイエット」と呼ばれるモードを選ぶと、積極的にEV走行をしてくれるので、早朝深夜の住宅街などでも気を遣わうことなく、出入りできるようになっています。

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そして、このEV走行時にはエンジンが停止しているので、スーパースポーツの緊張感から解放されるのもNSXの特徴。とくにファーストタッチの段階で、このEV的スムースさに触れるとスーパースポーツへ対峙する緊張感が和らぎます。

思えば初代NSXでは「エブリデイスーパーカー」といったコンセプトもありました。ドライブテクニックの要求度、耐久性、取り回し性などでハードルを下げ、毎日乗れるスーパーカーというキャラクターを世界に新提案したのです。そのスピリットは、新型NSXにもしっかり受け継がれているのでした。

とくに高張力鋼板を3次元熱間曲げ焼き入れすることで生み出された細いAピラーは視界を広くし、そのボディサイズを感じさせない市街地での取り回しの良さを実感させます。

フルパフォーマンスを発揮できないようなシチュエーションでも我慢がないどころか、走りを楽しもうという気になるスーパーカーなのです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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