スズキとトヨタが業務提携を検討する狙いとは?

実際にスズキとトヨタによると、下記のように今回の提携開始の検討について、「自動車業界は、従来の自動車そのものの開発技術にとどまらず、環境や安全、情報等の分野において先進・将来技術の開発が求められるなど、取り巻く環境がこれまでにない速さで、大きく変化している。また、こうした分野では、個別の技術開発に加えて、インフラとの協調や新たなルールづくりを含め、他社との連携の重要性が増してきている」としています。

ご存じのとおりスズキは日本では軽自動車が中心で、インドでもシェアトップを握るなど、価格競争力の高いクルマをつくる技術、つまりコスト削減策のノウハウを積み重ねてきましたが、PHVやEVやFCVなどのエコカー、自動運転などを含む先進、将来技術の開発に課題を抱え、危機感を持ってきたそうです。

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一方のトヨタは、「環境や安全、情報等に関する技術開発に取り組んでいるが、欧米各社よりも仲間づくり、標準づくりの面で遅れている」としています。今回、両社が抱える課題を解決するためには、業務提携が有効であると考え、冒頭で紹介したように、検討を開始することにしたとしています。

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今回の検討は、両社間で公正かつ自由な競争が行われることを前提として、進めることになる。なお、この提携の構想は両社以外にもオープンなスタンスであり、将来的には標準化にもつながるものと見据えているそうです。

スズキの鈴木修会長は、「トヨタは業界トップの企業であり、また、あらゆる先進技術、将来技術を手がける最も信頼できる会社。今回こうしてトヨタとの協業に向けて協議を進められることになり、大変ありがたい。豊田章一郎名誉会長にまず相談させていただき、豊田章男社長にも協業に関心を示してもらい、大変感謝している。スズキの将来のためにもしっかりと協議に臨んでいく」と述べています。

一方のトヨタの豊田章男社長は、「自動車業界を取り巻く環境が大きく変わる今、生き抜くために必要なのは『変化に対応する力』。個別の技術開発に加えて、同じ志をもった仲間づくりが重要となってきている。『もっといいクルマ』づくりと自動車産業の発展に役立つ取り組みであれば、我々は常にオープンな姿勢で検討したいと考えている」と語っています。

これからスズキとトヨタの提携がどんなカタチになるか分かりませんが、トヨタの完全子会社となったダイハツとの関係も気になります。しかし、企業規模ではトヨタが圧倒していてもダイハツとの関係を見れば分かるように、トヨタ流に慎重に事を進めるでしょうし、スズキもフォルクスワーゲンとの提携のようなトラブルは起こしたくないはず。さらにトヨタもその経緯を見てきただけに、今後の交渉がどうなるか注目です。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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