ホイールを汚す粉塵が発生しない!摩擦を使わない「MR流体ブレーキ」を曙ブレーキ工業が開発

曙ブレーキ工業は、現状のブレーキと作動原理が異なる新発想の、摩擦を使わない「MRブレーキ」を東北大学流体科学研究所と共同で開発しました。

摩擦を使わないブレーキでは磨耗粉が発生しないので、アルミホイールの磨耗粉による汚れも無くなります。

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この「MRブレーキ」は、車体側に固定された円盤とハブ側の円盤とを交互に対向して配置し、両方の円盤の間にMR流体を充填し、内部に磁場を発生させる電磁石を配置した構造になっています。

MR流体とは、磁気に反応して流体から半固体に特性が変化する流体のことで、1960年台から研究が続けられてきました。MR流体に磁場が働くと、MR流体中に分散された粒径が数ミクロンの鉄粉が磁界方向に整列して、流体中に鎖状粒子クラスターが形成され、流体が半固体化します。

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「MRブレーキ」では、車体側とハブ側の両円盤の間に充填されたMR流体に、電磁石から磁界を働かせると、両円盤の間に鎖状粒子クラスターが発生します。このときハブ側の円盤は回転し続けるので、鎖状粒子クラスターがせん断力を受けて崩壊し、隣のクラスターとつながり、また崩壊されるという現象が繰り返されて、ハブ側の円盤に抵抗力が生まれます。この抵抗力がブレーキ力となって、タイヤの回転を止めることになるのです。

「MRブレーキ」のメリットは、①摩擦を使わないので、磨耗粉が発生しない、②MR流体は数ミリセカンド(1,000分の1秒)の短時間で反応し、ごく短時間でブレーキ力を発生できる、③電磁石による磁界の発生パターンを電子的に制御して、好みのブレーキ・フィーリングに調整できるという点が挙げられます。

曙ブレーキ工業では「MRブレーキ」を超小型モビリティ用のブレーキとして研究開発を開始し、2015年3月に試作品を完成しました。今後は2020年に実用化することを目指して、台上試験と実走試験による改良を重ねる、としています。

(山内 博・画像:曙ブレーキ工業)