重量が嵩みがちな4WDのみの設定に加えて、220mmという高めの最低地上高はフォレスターが重視する悪路走破時には大きな強みになりつつも、オンロードでの乗り心地では不利になる要素ですからどうやって折り合いをつけるかが難しいところ。
D型への移行で、フロントサスペンションでは、ダンパーの減衰力とスプリングのバネ定数の変更、クロスメンバーの剛性向上、ロッドガイドブッシュと作動オイルの変更などが盛り込まれています。
リヤサスペンションもダンパーの減衰力とスプリングのバネ定数の変更、ロッドガイドブッシュと作動オイルの変更のほか、トレーリングブッシュの硬度の変更やダンパーレバー比のアライメントの最適化が盛り込まれていて、乗り心地と操縦安定性の向上が図られています。
その効果は明らかで、試乗したのは売れ筋のNAモデルですが、スバルの数値(振動の収束時間が23%向上、振動の大きさが22%改善)以上に、滑らかでフラットライドを得ている印象です。
とくに顕著なのが荒れた舗装路での追従性の高さで、これなら林道などのラフロードでもさらに快適な走りが楽しめるはず。
乗り心地と同じくらい印象的なのが、ハンドリングの向上ぶり。ステアリングギヤ比のクイック化(15.5:1から14.0:1)とアシスト特性の最適化が図られているそうですが、スッキリした素直な操舵感で、実際に応答性は35%改善されているそうですが、クイック過ぎて扱いにくい面もなく、フットワークは全体に軽くなった印象さえ受けます。
4.6m台を中心とするミドルサイズSUVでは、とくに三菱アウトランダー(PHEV含む)がマイナーチェンジで良好な乗り心地を得ている印象でしたが、走行条件が違うとはいえフォレスターも甲乙つけがたいレベルにまで到達しているといえそうです。
(文/写真 塚田勝弘)