3Dデザインのホイールが画面に表示されたとき、タミヤ側よりマツダ側に質問が投げられます。
「ホイールなども中山さん達がデザインスタッフが担当されるのですか?」
(中山)「ホイールはすごく難しくって、強度等が非常に重要ですから、我々デザイナーがやっちゃいけないぐらいに思っています」「完全な機能部品です」「とにかく軽くしなければいけなかったり、デザインはしますけれども、理に適った形を作ってます」
多少予想外だったのか、タミヤ側の興味深そうな頷きが印象的でした。
モニターにはボディーパーツが映され、平田氏がボディの苦労を語ります。
「ある程度のデザインが上がったところで、ボディーのエッヂなどは現実の立体物にしないと判らないので、確認の為に3Dプリンターを利用してボディーを作成し、形状確認をします。」
「その上でフェンダーの張り出し等、取材をしてきた時の印象や、実物を触って感じたイメージを再現できているかを確認します。また画面の中でパーツをくみ上げたりして、製品の完成度を高めていきます。」
昔はシャシー(フロア)の部品に足回り、ミッションケース、マフラーのパーツが付いて(整形されて)いましたが、新型ロードスターでは実車同様にドライブトレーンやマツダFR車の特徴であるPPF(パワープラントフレーム)やドライブシャフト、サスペンション等も別整形・組み立てとなっています。
これは作り易さ・塗り分け易さ、実車の再現性だけでなく、「雑誌やカタログで目にしている画(実車を所有しても目にする機会がない)だけにそこも見せたい」と設計陣が考えての事だそうです。
また、今回のロードスターでは1/24キットで初めて女性ドライバーのフィギュアが付属します。
以前、フィギュアは原型師の方が担当されました。が、現在は実際のモデルを3Dスキャナーでスキャン・製作しています。プロポーションや服の皺等もリアルに再現されます。
また、初代ロードスターではクリアー部品をはめ込むだけだったライト周りのパーツは細かく分割されました。取り付け方法は精緻で汚れ難い組み付けとなっています。
ここは中山氏より「ライトは実車でも(担当者が)拘りに拘った部分。担当者が喜びます」と、絶賛をされました。
縮尺の問題で完全に再現しきれない筈の“足回り”でも、ちゃんと実車同様にフロントタイヤが切れる事を確認して感心しきりです。
サイズ的に再現の難しいウインドディフレクターやラジオアンテナの再現についても模型ならではのノウハウが有る一方で、実車でもラジオアンテナに模型で再現出来ないアンテナに“巻きつけてある体”の「アレ」がアンテナの風切音を低下させる加工と中山氏より説明され、タミヤ陣に驚きの色が。
しかしその後、中山氏が「RCカーのアンテナとは違うんですよ」と続けた所、「現代のRCカーには昔のような(車体から飛び出した)アンテナは不要です」とタミヤ側より説明され、一本取り替えされていました。その後、中山氏より女性フィギュアを搭載する際、0.2ミリ位のプラ板を噛ませると(通常より急なシートスライド角の)再現度が髙くなるなど、興味深い話が続きました。