そして、自動運転に関する技術は、個別の企業が独自に進化させられる領域と、協調して進めるべき領域があるといいます。
高精度地図やビッグデータの利用については、自動車メーカーにとどまらず他業種との協調も必要になるでしょうし、道路上の情報をクルマに伝えるインフラ整備も必要となるでしょう。さらに、自動車へのハッキング対策や、路上に配置されたセンサーへのジャミング対策も、官民が協力して対応すべき内容だといいます。
自動車メーカー間の調整としても、自動運転への切替やマニュアル運転への復帰時におけるユーザーインターフェースについては、ある程度の共通性がなければ、せっかくの便利な機能がユーザーの使い勝手を損なってしまいかねません。そうした点で業界のスタンダードを整理するのも日本自動車工業会の役割です。
日本でいえば、高齢化・過疎化における移動権確保の切り札として期待されている自動運転ですが、万人にユーザーインセンティブを高めるための工夫もしていきたいと池氏は語ります。
あくまで仮の話しですが、高速道路に自動運転専用レーンができて、そのレーンに限って法定速度が上がるようなことがあれば、自動運転のクルマに乗りたくなるかもしれません。
ユーザーメリットにつながる施策の提案も、自動運転の普及につながる要素として、これから議論に上がっていくことでしょう。
(撮影・文 山本晋也)