そこで「今度こそ若者をターゲットに」との思いでトヨタが再び挑戦することにしたのが「自分の意のままにクルマが反応し、日常使いの中でもクルマとの対話ができる楽しさを追い求めたエントリーモデル」をコンセプトにした「S-FR」というワケです。
<S-FR開発コンセプト(要約)>
・「丸みを帯びたデザイン」と「走りの予感」を両立
・フロントミッドシップの本格FRレイアウト
・最適重量配分と独立懸架サスペンションによる高いコーナリング性能
・6速マニュアル ミッション仕様で走る楽しさと操る楽しさを追求
・ユーザー同士で気軽にカスタマイズを楽しめるクルマ
ちなみに「ヨタハチ」は、パブリカの開発主査で初代カローラ開発も務めた長谷川主査と関東自動車工業(現在のトヨタ自動車東日本)とのコラボ開発で誕生。
当時のライトウエイト・スポーツカー時代の幕開けにトヨタが名乗りをあげたクルマで、空気抵抗が少ない流線型の画期的なボディデザインを採用、パブリカ用の空冷エンジン(水平対向2気筒OHV)をパワーアップ、FR駆動方式で、フロントがダブルウイッシュンボーン with トーションバー、リヤがリーフスプリング式のサスペンションという構成でした。
車両重量は現代の軽自動車をも凌ぐ、「580kg」という驚異的な軽さを誇り、最高出力/最大トルクが45ps/6.8kgmながらも、0-400m加速が18秒台、最高速度は155km/hをマークするほどの高性能を発揮するなど、侮れない走行性能を発揮。
燃費も10・15モードで23~25km/Lまで伸びる実力を持っていました。
こうした経緯から「S-FR」が「平成のヨタハチ」となり得るには、まず「軽量で燃費が良いこと」、そして「車両価格が150万円から200万円未満の価格帯に収まっていること、さらに何よりも「カッコイイこと」の3要件をクリアする必要がありそうです。