トヨタのFCV「ミライ」は、ラゲッジとリアシートの周辺に2本の高圧水素タンクと二次電池(ニッケル水素)を、ボディ中央にFCスタック(燃料電池)を、そしてフロントにコントロールユニットと駆動モーターを搭載するといったレイアウトになっています。
これら、燃料電池車を構成する主要素に関する特許、燃料電池スタック(約1970件)・高圧水素タンク(約290件)・燃料電池システム制御(約3350件)について、FCVの製造・販売を行なう場合に、2020年まで特許実施権を無償提供するというのが、今回の発表におけるひとつめのニュースとなります。
ポイントは、FCVの製造・販売を行なう場合、2020年までと期限を設けている点でしょう。
つまり、実際に自動車として販売を考えていない組織への提供はしないということで、あくまでもFCV全体としての市場存在感を増したいという狙いが見えています。
また、2020年までと、わずか5年に限定している点も見逃せません。トヨタのパテントを無償で利用したメーカーは、5年の間にパテントを回避する独自技術を開発できなければ、その後もFCVを製造するのであれば特許に関するコストが発生するのです。
さらに、初期モデルとの整合性を考慮する必要も出てきますから、結果としてトヨタの燃料電池技術を利用するか、かなり親和性のある技術を使わざるを得ないといえそうです。