そのいっぽうで注目したいのが、新興勢力の台頭です。このラウンドで今季初めて追走進出を果たした選手たちの中には、味元美智恵、寺町邦彦、平島明という名前が見られます。味元選手は昨年のD1レディースリーグ王者。今回の追走進出で、D1GPの歴史において女子選手としては初の予選突破&ポイント獲得となりました。寺町選手は’12年のD1ストリートリーガル(SL)年間2位、そして平島選手は’13年のD1SL年間2位の選手です。
それだけではありません。すでに追走の常連になっている松川和也選手は’07年のD1SL王者、松井有紀夫選手は’07年のD1SL年間2位、末永直登選手は’08年のD1SL王者、田中省己選手は’11年のD1SL王者、横井昌志選手は’12年のD1SL王者です。
今回松川選手はマシントラブルで予選敗退となってしまいましたが、じつに本戦進出選手のうち1/4以上が下部カテゴリー出身といえるドライバーになっているのです。
さらに今回、松井選手はウエット路面のなかでバツグンの振り返し区間の速さを見せて、末永(正)選手、今村(陽)選手といった強豪を倒し、自己最高の3位に入賞。横井選手も見事な接近ドリフトで今村(陽)選手に勝ち、初の決勝進出を決めました。
D1GPは経験が大きくものをいうモータースポーツですが、練習量も重要です。ここ何年ものあいだ経験豊富なドライバーが優勢でしたが、D1LL、D1SL出身ドライバーの特徴としてはとにかく練習量が多いこと。練習量があるていどに達すると、経験を上まわることができるようです。この第3戦は、いよいよベテランを脅かす若手の台頭が象徴的に見られた大会だったといえるかもしれません。
しかし、上には上がいました。とにかくグッドイヤーに初のシリーズチャンピオンをもたらそうと、ベテランでありながらしっかり練習もしている高橋邦明選手。重い4ドアセダンでありながら、コーナーに入ってからも横井選手のシルビアにピタッとロックオンしてドリフトを合わせきり、見事に優勝を決めました。決勝の最後の走りは誰の目にも明確に勝ちがわかる爽快な追走でした。これでランキング首位の高橋選手は2位とのポイント差をさらに広げました。次戦からの残り3戦が正念場になりそうです。
(まめ蔵)