新聞報道などによると、マツダが開発中の小型ロータリーエンジンを搭載したEVを公開した模様。
2012年6月、最後のロータリーエンジン搭載車「RX‐8」の生産完了に伴い、環境対応への課題からその生涯を終えたマツダが世界に誇る「ロータリーエンジン」。
しかし、ルマンで優勝した「787B」を頂点とする「ロータリースピリット」の火はやはり消えてはいませんでした。
今回マツダが公開したのはリース販売中の「デミオEX」に排気量330ccで30psを発生する小型ロータリーエンジンを搭載、発電しながら航続距離を伸ばす「レンジエクステンダー」方式のEV。
デミオEVの航続距離200km(JC08モード)をさらに約180km延長出来るという物で、航続距離が約400km近くになることから、大きな注目を集めています。
走行用モーター(出力102ps/トルク15.3kgm)やバッテリーもデミオEV用のままで、ロータリーエンジン、発電機、容量約9Lの燃料タンクをモジュール化(約100kg)した上でラッゲージスペースを犠牲にする事無く床下に搭載。ロータリーエンジンの静粛性も良好と言います。
エンジンを垂直に配置、ローターを水平方向に回転させる事で、レシプロエンジンよりも大幅に薄型化が可能となり、車両への搭載性が向上している模様。
燃費改善が難しいロータリーエンジンもレンジエクステンダーとしての利用であれば小排気量で作動頻度も少ないことからデメリットは十分カバー可能とか。
MAZDAは同エンジンのコンパクトさを活かして発電用のエンジンに特化することで、EVが抱えている航続距離問題を一気に解決しようという訳です。
同様のレンジエクステンダー技術はアウディが一足先に2010年3月のジュネーブモーターショーに出展したPHV「A1 e-tron」で発表済み。
車体後部に254ccの小型シングルロータリーエンジンを搭載しており、航続距離を最大で250kmまで延長するというもの。
2011年11月には箱根のTOYO TIRESターンパイクを全線貸切って試乗会を開催するなど、日本でも本気度をアピール。
今年6月には排気量を254cc→354ccへと拡大、出力を20ps→34psへ引き上げ、モーターも102ps→115ps、トルク24.5kgm→30.6kgmへと向上させたようで、最高速度は130km/h、0-100km/h加速9.8秒の性能を発揮。
一方、スズキが2011年の東京モーターショーに出展した「スイフト・レンジエクステンダー」は軽自動車用の660ccエンジンを発電用に搭載していましたが、こちらは燃費性能や価格面で優位性が打ち出せず、今年8月に量産化に向けた開発凍結を発表。
とは言え、EV用バッテリーが劇的な進化を遂げるまでにまだまだ時間がかかりそうな状況下に於いて、こうしたレンジエクステンダー技術は非常に有効な手段。
信頼性やコストの壁をクリアする必要も有り、今回のMAZDAの発表では市販時期については触れていないようですが、ロータリーエンジンの量産に世界で始めて成功した歴史を持つ同社だけに、EVへのロータリー応用でも是非頑張って頂きたいところ。
MAZDAのロータリーエンジンにかける「意地」に期待が集まります。
■デミオEV Webサイト
http://www.mazda.co.jp/philosophy/tech/env/ev/
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