ここ最近の人気車といえば、多人数乗車が可能なミニバンと燃費の良いコンパクトカーやハイブリッドカー。ミニバンの魅力は何といっても室内空間の広さや、いざというときに6人以上の乗車が可能な点。4人家族で帰省した時にはおじいちゃんやおばあちゃんを一緒に乗せてドライブに出かけることも可能です。
しかしミニバンは車両重量が重く、セダンやステーションワゴンなどと比べると燃費面で不利となるモデルが多いのも事実。そこで今回は人気のミニバンタイプのモデルの中から、低燃費が自慢のモデルをご紹介します。
第5位 トヨタ アルファード ハイブリッド 「G」「X」/ヴェルファイア ハイブリッド「V」「X」 JC08モード17.0km/L
Lクラスミニバンのなかでダントツの人気を誇るアルファード、ヴェルファイア。なかでもハイブリッドモデルは2000kgを超えるボディでありながら、JC08モードで17.0km/Lを実現しています。
ハイブリッド仕様の中ではベーシックなグレードですが、上級グレードと比較すると80kgから100kgの重量差があるので、燃費重視であれば必要な装備を備えるこれらのグレードでも十分といえます。またアルファード/ヴェルファイアのハイブリッド仕様車はE-Fourシステムを搭載し、モーターを駆動させることで4輪駆動として走行することも可能であり、ウィンタースポーツや積雪地でも頼もしい走りを披露します。アルファードハイブリッド「G」・ヴェルファイアハイブリッド「V」は車両本体価格440万円、アルファードハイブリッド「X」/ヴェルファイアハイブリッド「X」は395万円からとなっています。
第4位 トヨタ シエンタ JC08モード 17.2km/L(4WDモデルは13.2km/L)
低燃費ミニバンランキングで唯一の非ハイブリッド車。ガソリンエンジンのみで17.2km/Lを叩きだす優れものです。ヒミツは1200kg代の軽量なボディとカローラシリーズなどに搭載される1NZ-FE型 直4 1.5L DOHCエンジン。軽量なボディに低燃費エンジンの組み合わせはハイブリッドを凌ぐ数値を実現しています。ボディは全長4100mm(DICEは4120mm)と短めですが、3列目にも大人2人がしっかり乗れるシートが備わります。
弱点は7名乗車した場合のパワー不足。最高出力81kw(110ps)/6,000rpm、最大トルク141N・m(14.4kgf・m)/4,400rpmのスペックは、フル乗車した際に登坂路や高速道路の合流での非力さは否めません。しかしベースとなるプラットフォームがヴィッツであるものの、リヤサスペンションにはカローラ用のトーションビームなど1ランク上の物を使用し、多人数乗車時の安定性の高さが魅力です。価格は2WD「X」の157万5000円から、4WD「G」の197万3500円となっており、エコカー減税の対象車となっています。
第3位 トヨタ エスティマ ハイブリッド JC08モード18.0km/L(サイドリフトアップシート車は17.0km/L)
アルファード/ヴェルファイアに比べ、全高が低く、空気抵抗の低減にも効果のあるエスティマハイブリッド。搭載されるエンジンも、モーターも全く同じ物を使用していますが、車両重量は最上級グレードのアエラス レザーパッケージを選択しても1990kgと、2000kg以下となります。また価格も人気の上級グレード、アエラス7人乗りを選択した場合でも406万2000円と、アルファード/ヴェルファイアと比べてもリーズナブルなプライスとなっています。また全車にAC100V 1500Wコンセントが標準装備されている点もアウトドアや震災時のことを考えると大きな魅力と言えます。
エスティマハイブリッドはベーシックな「X」が379万円、最上級グレードの「アエラス レザーパッケージ」は507万円となっています。燃費にも有利でお買い得感の高いエスティマハイブリッドは満足度の高い1台と言えそうです。
第2位 ホンダフリード ハイブリッド JC08モード 21.6km/L
今回のランキング唯一のホンダ車としてランクインしたフリードハイブリッド。ベースとなるフリードも16.6km/L(G・FF)という低燃費を実現していますが、水冷直列4気筒SOHC8バルブ1.5Lのi-VTECにホンダ自慢のハイブリッドシステムIMAを組み合わせることで21.6km/Lというさらなる低燃費を実現しています。フリードハイブリッドの車両本体価格はベースモデルより約30万円アップとなる214万9000円からとなりますが、市街地での使用が多い人にとってはハイブリッドの恩恵は十分に受けられるのではないでしょうか?
エンジンの最高出力は88ps(65kW)/5400rpm、最大トルクは13.5kg・m(132N・m)/4200rpm、加えてモーターの最高出力が14ps(10kw)、最大トルク8.0kg-m(78Nm)となっていますが、7名乗車時には登坂路や高速道路などでは若干パワー不足を感じることは否めません。しかし都市部で低燃費の威力を発揮するフリードハイブリッドは駐車場などの制約で小型車しか選択できない方や都市部での仕様がメインの方にはイチオシのモデルと言えます。
第1位 トヨタ プリウス アルファ JC08モード 26.2km/L
低燃費ハイブリッドカーの代名詞ともいえるプリウスのミニバン仕様がプリウスアルファ。ミニバン仕様の7人乗りの他、ステーションワゴン仕様の5人乗りもラインナップされています。パワーユニットはベースのプリウス同様、最高出力99ps(73kw)/5,200rpm、最大トルク14.5kgm(142Nm)/4,000rpmの2ZR-FXE型1.8L直4 DOHCエンジンに82ps(60kw)、21.1kgm(207Nm)のモーターを組み合わせるトヨタの誇るTHS-2ハイブリッドシステムとなっています。
5人乗りのステーションワゴン仕様ではプリウスと同じニッケル水素電池を使用していますが、7人乗りのミニバン仕様ではトヨタの量産車初となるリチウムイオン電池を採用しているのが特徴です。現在発売中のミニバンでダントツの低燃費を誇るプリウス アルファの7人乗り仕様270万円からとなっており、価格面からいえばフリードハイブリッドに一歩譲るものの、室内の広さや燃費では同クラスダントツのスペックとなっています。同じプリウスアルファでも5人乗りと7人乗りではサードシートの居住性確保のためにバッテリーの方式や搭載位置を変更するなどトヨタらしいきめ細やかな差別化が図られており、ミニバンとハイブリッドカーのどちらも得意とするトヨタらしいパッケージングのクルマといえます。
ランキングの内、4台がハイブリッドカーとなったミニバン低燃費ランキングですが、環境問題が取り沙汰される最近のクルマ事情を反映したランキングといえます。4位にランクインしたシエンタは非ハイブリッドでありながら燃費が17.2km/lと大健闘しており、ハイブリッドシステムを搭載しないシエンタはランキング内唯一の100万円台のミニバンです。また、5台中4台がトヨタ車となり、ミニバンを幅広く扱い、ハイブリッド技術も一歩リードしているトヨタならではの結果とも言えます。
各クラスでハイブリッドの設定が増えている人気のミニバン。これからは更なる低燃費を目指し、EVやPHEV仕様車の動向も見逃せません。
(井元 貴幸)