日産自動車、三菱自動車の合弁会社として軽自動車の開発を担うNMKV。その協業による新型軽自動車の第一弾として日産自動車「デイズ」「デイズ ハイウェイスター」、三菱自動車「eKワゴン」「eKカスタム」がラインオフというニュースもありました。まもなく発売になるこのニューモデルは、激戦の軽自動車市場にどのような影響を与えるのでしょうか。
2013年4月の軽乗用車セールスランキングでは、2年ぶりにダイハツ・ムーヴが首位を奪還したというのが話題になりましたが、じつは2月の首位はホンダN BOX、3月はスズキ・ワゴンRと毎月にようにトップが変わる激戦状態なのです。
もともと全長・全幅は規格で決まったサイズに目一杯となっていますから、軽自動車市場においては全高の違いがジャンルを分けるのですが、N BOXは全高1700mm以上のスーパーハイトワゴンと呼ばれるジャンルで、ムーヴやワゴンRは1600mm台のハイトワゴン、そして1550mm以下がハッチバックセダンといった分類になっています。
この3ヶ月だけでいえば、スーパーハイトワゴンからハイトワゴンへとトレンドが変わっている気配ありといえそうですが、N BOXもお買い得な特別仕様車「SS(鈴鹿スペシャル)」をラインナップに加えるなど、今後の展開は見逃せません。
ところで、今回の日産と三菱の協業による新型軽自動車を全高で見ると、ハイトワゴンに区分できます。つまり、ムーヴやワゴンRのライバルになるというわけで、トレンド的には市場のど真ん中へ直球勝負という印象です。
長年、軽自動車を作り続けている三菱自動車は全高1550mmというハッチバックセダンながらハイトワゴンの使いやすさも身に着けていた初代eKワゴンのスマッシュヒット以降、なかなか存在感を出せずにいました。
また、日産はOEMによる軽自動車販売をはじめて10年以上経ち、販売ランキングトップ10の常連ではありますが、トップ5に食い込んで存在を示すというほどでありませんでした。
たとえば、日産はスズキと三菱からOEMを受けていますが、売れ筋のワゴンRが供給されていなかったというのも、そうした理由のひとつといえるかもしれません。
今回、日産と三菱の協業により、現在の売れ筋であるハイトワゴン・カテゴリーにニューモデルを投入することで、果たしてこれまで以上の存在感を両社が示すことができるのかどうか、非常に気になるところ。クラストップとなる燃費性能や軽自動車初のタッチパネル式オートエアコンといったアピールポイントを考えると、その可能性はかなり大きそう。
思えば、ホンダがNシリーズを出すまでは、ダイハツとスズキの2強だった軽自動車市場ですが、N BOXのヒットによる3強時代へと状況は変わったばかり。ここに、NMKVによる日産・三菱のニューモデルが加わるのです。さらに2014年初頭には、NMKVからスーパーハイトワゴンも登場予定ということですから、ますます4強時代の予感をヒシヒシと感じます。
もっとも、実際に生産しているメーカーでいうと4社になるので、4強時代というのは食うか食われるかの激戦市場になるということであり、また各社が生き残るには軽自動車市場の拡大が必要になるといえそうです。
日産とスズキのOEM関係が今後どのように変わっていくかにもよりますが、軽乗用車についてはOEM先を含めたダイハツ・トヨタ・スバル、スズキ・マツダ、日産・三菱、ホンダという4グループが切磋する状況がしばらくは続きそうです。
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(山本晋也)