今クルマ業界で注目されているのがプリクラッシュブレーキ機能。いわゆる「ぶつからない機能」ですが、いよいよ働くクルマにもその波が来ています。
狭い構内などで、前後進を繰り返すフォークリフトによる労災事故は※年間死傷者数が2054人にものぼり、なかでも「激突され」「はさまれ・巻き込まれ」による死傷者数は1348人にのぼり、フォークリフトによる年間労災事故の約65.6%を占めているそうです。
そこで、悲惨なフォークリフトによる労災事故を減らす為に、福井小松フォークリフトより画期的はフォークリフト用対人対物接触事故回避支援システムが発売されました。
「ウェルガード」と呼ばれるこのシステムは超音波センサーをマグネットでフォークリフトに取り付け、障害物や、作業者などを検知すると1次警報として警告灯でオペレーターに知らせ、更に接近した場合2次警報でスピーカーから音声で接近を知らせるシステムとなっています。
後付けに対応し汎用性を持たせてあるのでブレーキが自動で掛かるとまでは行きませんが、事前に警報をすることで接触事故を大幅に軽減することが可能となっています。
「ウェルガード」の特徴はあらゆる場所で使用されるフォークリフトでの使用を考慮し、検知範囲を自由に設定できるところ。検知範囲が広すぎると狭い構内で使用する場合は警報が鳴りっぱなしになってしまうため、状況に応じて検知範囲が変更できることがより正確に障害物や人を検知する事が可能になっています。
またオプションで走行速度に応じ、自動的に検知範囲を変更する機能のほか、既存のフォークリフトにも大幅な改造などを施す事無く導入できるうえ、価格も14万7000円からとリーズナブルに導入できるのもメリットといえます。
さらに汎用性を持たせてあることから、フォークリフトのみならず、自走式の高所作業車など移動時に周辺の確認が困難な特殊車両にも使用することが可能となっているそうです。
クルマ業界で注目されている「ぶつからない機能」は狭い場所で活躍する特殊車両にも是非導入して欲しい機能であり、「ウェルガード」はその第一歩として注目の装備といえます。
このシステムが進化すればプリクラッシュブレーキを備えた「ぶつからないフォークリフト」の誕生もそう遠くないうちに実現できそうですね。
※厚生労働省労働災害統計「『労働者私傷病報告』による死傷災害発生状況(平成23年確定値)」
(井元 貴幸)