実用化まで遠いとされていたFCV(燃料電池車)ですが、トヨタや日産などが欧米大手と戦略的技術提携をしたことにより普及時期が前倒しされようとしています。
FCVは従来のガソリン車やEVとは異なり、燃料となる「水素」を風力や太陽光発電等の再生可能エネルギーにより水を電気分解して生成するため、化石燃料を必要としない点で環境面で優れているとされています。
またEVに比べ、航続距離や燃料の充填時間がガソリン車と遜色無いレベルにできるというメリットも有ります。
工業用途の水素は石油などの化石燃料由来が多いため、再生可能エネルギーによる水素製造技術の開発を経済産業省が支援しており、電気分解方式の水素製造装置の価格を25万円程度に抑える計画。
水素供給ステーションは4大都市から設置が展開され、2015年時点で100箇所、2025年時点で1000箇所、2030年時点で全国5000箇所への拡大が予定されています。
FCVの価格は10年前まで1台1億円と言われていましたが、HVと電気モーターなど多くの部品を共通化できるため、量産効果による低価格化が見込まれています。
4月5日の読売新聞報道によると、トヨタ自動車が2015年に市販予定のFCVの価格は500万円前後で、約700台/年の販売を予定していることが判明した模様。
トヨタのFCV第一弾はセダンタイプで、生産は愛知県豊田市の元町工場を予定。一回の水素充填で700㎞の走行が可能と言います。
トヨタはBMWとの共同開発&量販効果で今後も更なる低価格化を狙うと共に、2020年の本格普及に向けて水素関連ビジネスへの参入も予定しており、年間数万台規模の販売を予定。
独自路線を貫くホンダも2015年から日米欧で大幅なコストダウンを図ったFCVを500万円以下で投入する方針を打ち出しています。
日産はダイムラー/フォードとの共同開発で開発費を削減しつつ、2017年頃に量産車を発売予定。
またHYUNDAIもFCVを「社内で最も重要性が高いプロジェクト」と位置付けており、2015年までに5人乗りのSUV「ix35」をベースにしたFCVを1000台生産する計画。
走行性能はガソリン仕様の「ix35」と同等で水素タンクの充填圧力は70MPa。水素1回充填当たりの航続距離は588km。
このように、既に世界的に量販計画が進んでおり、「水しか排出しない」FCVは次期低公害車の本命として最前線に躍り出ることはどうやら間違い無さそうです。
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