Cセグメントといえば、VWゴルフに代表される超激戦区です。メルセデスがBクラスに続きAクラスを刷新し、BMWには1シリーズがあります。さらに、日本市場に再挑戦するフォード・フォーカスやアルファロメオのジュリエッタ、プジョー308、シトロエンC3などもあります。さらに、ゴルフとA3は年内には新型が上陸するようです。
全長4370×全幅1785×全高1440mmは、Bクラスの4355×1785×1435に近いディメンション
欧州Cセグメントを購入するポイントとして、まず価格や装備などのコスパはもちろん重要ですが、やはり走り。適度に気持ちがよく、しかもそれなりの質感を備えているかが気になります。
現時点でのグレードは269万円のT4と309万円のSEの2本立て
心臓部は1.6LのGTDI、つまり直噴ターボの「T4」のみで、180ps/240NmのスペックはV60/S60と同一。吸排気に可変バルブタイミングを備えることで出力とトルクを確保しながら、効率化を図っている自慢のエンジンは、兄貴分のV60/S60でも十分に走りますから、100kg以上軽い、このV40を加速させるにはまったく不足を感じさせないどころか、かなりホットな仕上がりです。
しかもV40には、デュアルクラッチの6ATにボルボ初となるスポーツモードを備えています。パドルシフトがないのは残念ですが、シフトレバーでのマニュアル感覚のシフトが可能。また、ボルボ初のアイドリングストップ&回生ブレーキにより75%免税のJC08モード燃費16.2km/Lを達成しています。
操舵では、ボルボ初の電動パワステにも注目で、油圧パワステのようなダイレクトなフィーリングは薄れた気もしますが、V60のように3段階(ロー/ミディアム/ハイ)のアシスト設定から選ぶことができます。さらに、低速では軽く、高速では重い車速感応型のステアフィールには、少し前のアウディのように軽すぎて中立が分かりにくいというような、大きな欠点も感じられませんでした。
加えて、90km/h以上でのコーナリング中に前輪内側にブレーキを掛けて外輪へのトルクを増すコーナートラクションコントロールなどの助けを借りながら、ロール制御も巧みで、アンダーステアも若干許しますが、これは逆に安心して走れるというものです。
1時間強しか乗れなかったのでまさに味見程度ですが、とにかくノーズが軽く、ライントレース性も高い1シリーズほどではないですが、ハンドリングはなかなか軽快。また、かつてほどではないにしても高いスタビリティを見せるAクラス、Bクラスと比べると、直進安定性はもう少しですが、ロングクルーズが苦手なわけではなさそうです。
Cセグメントではゴルフを筆頭に、ドイツ勢がベンチマークになるのが現実ですが、V40の走りからはFRの1シリーズとは違ったFFらしいスポーツムードたっぷりの味付けが感じられ、さらに少し前のプジョーのようなゴルフコンプレックスも感じられませんでした。
ボルボカーズジャパン http://www.volvocars.com/jp/
(塚田勝弘)