いよいよティザーサイトが公開され、14代目発表のカウントダウンが始まったトヨタ クラウン。
登場から57年と言う長い歴史を持つクルマであり、クルマ好きでなくとも、一度はその名前を耳にしたことがあるであろう名車です。
そのクラウンが、いよいよフルモデルチェンジで14代目となる日が近づいていますが、ここで歴代クラウンを振り返ってみます。
・初代トヨペット・クラウン RS型
今から半世紀以上前のモデルながら、映画 ALLWAYS 3丁目の夕日などに登場し、特徴的な観音開きドアで現代でも知る人の多い初代モデル。
1955年に登場した初代モデルは、直4 1.5Lエンジンを搭載してでデビューし、後にマイナーチェンジで1.9Lや1.5Lディーゼルも追加されています。
ボディサイズは全長4,285mm、全幅1,680mm、全高1,525mm、車重1,210kgで、現行型カローラとほぼ同じサイズです。
登場時からパトカー仕様やタクシー仕様が存在し、国産高級車と事業用車両の2面性を持つスタイルも今と変わらず、初代モデルから確立されていました。
・2代目トヨペット・クラウン S40型
2代目となるS40型には初代と同じく直4 1.9Lで1962年にデビューしましたが、後に直6 2.0Lモデルをはじめ、1964年にはV8 2.6Lエンジンを搭載するクラウン・エイトも追加されました。クラウン・エイトは、クラウンの上級モデルとして登場し、現在のクラウンと、クラウンマジェスタのような位置づけとなっていました。
・3代目 トヨペット・クラウンS50型
3代目クラウンは1967年に登場し、これまで公用車やハイヤーのイメージが強かったクラウンに、初の2ドアハードトップモデルや、ボディカラーに白を設定するなどして、オーナーカーとしてユーザーに印象付けました。
また、これまで商用モデルであったマスターラインシリーズをクラウンの名に統一する事で、4ドアセダン、2ドアハードトップ、ステーションワゴン、バン、ピックアップトラックと豊富なボディバリエーションと取り揃えていました。
クラウンにトラックがあったなんて、今では信じられませんね。
・4代目 S60/S70型 クラウン
スピンドルシェイプと呼ばれるデザインを取り入れた4代目クラウンはクジラクラウンの愛称を持ち、カラードバンパーを採用し、よりパーソナルセダンの印象を強めて1971年に登場しましたが、当時のユーザーには人気はいま一つであり、後のマイナーチェンジではメッキタイプのバンパーに改められました。
また、4代目クラウンからはトヨペット・クラウンから、トヨタ・クラウンに改称されました。
1971年には直列6気筒 2.6Lエンジンを搭載する3ナンバーモデルも追加され、エクステリアではフロントバンパーにオーバーライダーが装着され2.0Lモデルと差別化が図られていました。
当時は保守的なユーザーからは受け入れられなかったデザインも現代では先進的であり、時代を先取りしすぎてしまった感があります。
・5代目 S80/90/100型 クラウン
先代モデルから一転し、直線基調となった5代目モデルは1974年に登場し、世界初のオーバードライブ付4速オートマチックやピラードハードトップをラインナップし、最上級モデルとしてロイヤルサルーンが登場したのも、5代目からです。
2ドアハードトップや、ワゴンといったモデルも存在していた5代目ですが、ピラード4ドアハードトップの登場で4ドアセダンはハイヤーやタクシーと言った事業用向け、4ドアハードトップはパーソナル向けと言った棲み分けがされ、今も続く2通りの4ドアモデルのラインナップの原点と言えます。
・6代目 S110型 クラウン
1979年には6代目クラウンが登場。電動ガラスサンルーフや、パワ―シ―ト、クルーズコンピューターといった近代的な装備が搭載されたのも6代目から。
ターボモデルや、マイナーチェンジ後に登場したDOHCモデル等、メカニズム面でも近代化され、電子制御オートマチックやデジタルメーター、マイコン式前後独立温度調整機能付オートエアコンといったクルマの電子化が加速したのも6代目モデルからであり、エクステリアも2トーンカラーや後期モデルから採用されたフォグランプ一体式異形ハロゲンヘッドランプ等も近代的装備と言えます。
また歴代続いた2ドアハードトップモデルは6代目で消滅し、その座をトヨタ ソアラが引き継ぐこととなります。
・7代目 S120型 クラウン
「いつかはクラウン」という名キャッチコピーと共に、1983年にデビューした7代目クラウンは上級モデルには直6DOHC 2.8Lエンジンを搭載してデビューしましたが、翌年の一部改良で直6 DOHC 3.0Lの6M型に置き換えられる。
ライバルであったセドリック、グロリアの2.0L V6 ターボモデルに対抗し2.0Lモデルには1985年のマイナーチェンジで直6 DOHC 2.0L スーパーチャージャー付1G-GZEU型エンジン搭載車が追加されていました。
エクステリアではクリスタルピラーと呼ばれる樹脂製のピラーカバーが特徴となっています。
今ではクラウンの人気モデルであるアスリートが7代目にも設定されていた事はあまり知られていません。
7代目登場時からハードトップモデルにはドアミラーが採用されていましたが、登場時は手動格納式であった事には時代を感じますね。
・8代目 S130型クラウン
先代のイメージを踏襲しつつも、全体的に丸みを帯びたデザインへシフトした8代目クラウンは1987年に登場。
これまでの大型バンパーや大型サイドモールによる3ナンバーでは無く、ボディそのものが大きくなっているワイドボディが登場。税制の改正が行われ、それに合わせて2.5Lモデルも登場した他、マイナーチェンジでは最上級グレードにV8 DOHC 4.0L 1UZ-FE型 エンジン搭載車も登場し、クラウンマジェスタの原点とも言えるモデルも存在していました。
装備面でははエレクトロマルチビジョンやトラクションコントロールと言った近代装備も多く、バブル期だった事もあり、装備満載の最上級モデルである4ドアハードトップ 4000ロイヤルサルーンG EMV(エレクトロマルチビジョン)はパールホワイトの2トーンカラーと共に、人気の高いモデルでした。
・9代目 S140型 クラウン
1991年に登場した9代目クラウンは先代の最上級モデルに設定されていたV8エンジン搭載車をはじめとした派生モデル、クラウンマジェスタが登場。ハードトップは全車3ナンバーボディとなったが、法人ユースがメインの4ドアセダンは先代モデルをマイナーチェンジし、ボディそのものは5ナンバーサイズで継続生産されていました。
これまでのアスリートLに変わるモデルとして設定されたロイヤルツーリングにはクラウン初の電子制御5速オートマチックトランスミッションが採用されました。
前期型ではナンバープレートをバンパーに収めるリヤ周りのデザインがクラウンらしく無いと言う事で後期型ではデザインを一新し、クラウンらしさを取り戻したと言われています。また登場時はドアハンドルがボディ同色化されていたものの、高級感に欠けるといった印象から登場翌年にメッキタイプの物に変更され、同時にフロントグリルのメッキ部分もより明るい色合いの物に変更されていました。
歴代クラウンでリヤバンパーにナンバーを収めるモデルは4代目とこの9代目のみで、どちらも発売時のデザインに対するユーザーの評価は芳しくなく、クラウンにとってはトラウマ的デザインと言えるのかもしれませんね。
・10代目 S150型 クラウン
1995年に登場した10代目クラウンからは先代マジェスタに採用したフルモノコックボディを採用し、100kg以上の軽量化を果たした他、車両安定装置のVSCや連続可変バルブタイミングのVVT-iを採用。クラウンシリーズ初となるフルタイム4WDも設定されました。
7代目クラウンからデジタルメーター採用モデルの多かったクラウンですが、時代はアナログメーターが主流になってきたことから視認性の高い自発光式オプティトロンメーターを採用したのも10代目からでした。
サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーンを採用し、これまでロイヤルサルーンGに採用されてきた電子制御エアサスペンションが消滅しました。
エクステリアは先代の丸みを帯びたデザインから先々代に近い直線基調の保守的なデザインに回帰、先進装備を採用しつつクラウンらしさを取り戻したモデルと言えます。
・11代目 S170型 クラウン
5代目クラウンから続いたピラードハードトップが消滅し、衝突安全性の高い4ドアセダンとなった11代目クラウンは1999年に登場。スポーツモデルのアスリートシリーズが復活し、直6 3.0L、2.5Lターボ、2.5Lと豊富なバリエーションがありましたが、中でも2.5Lターボエンジンを搭載するアスリートVは当時の自主規制いっぱいの280psを発生し、引き締められた足回りと相まってスポーツカー顔負けの走りでクラウンシリーズの新たな1面を見せました。
2001年のマイナーチェンジではマイルドハイブリッドや直噴エンジンD-4搭載車も登場し環境性能へもいち早く対応しました。
また8代目からマイナーチェンジを繰り返し継続生産されてきたステーションワゴンも11代目をベースとしたクラウンエステートに進化したが、法人向けセダンは先代でフルモデルチェンジしたS150系を2001年まで継続生産されました。
2001年モデルからはクラウンコンフォートをベースとしたS10系にモデルチェンジした法人向けセダンは大幅に進化したS170系とは裏腹にベースが先代モデルより古くなってしまい、まさに浦島太郎状態と言えますね。
・11代目 S180型 クラウン
「かつて、このクルマはゴールだった。今、このクルマはスタートになる。」というキャッチフレーズと共に、ZERO CROWNの愛称を持つ11代目クラウンは2008年に登場。その名の通り、全てを一新したゼロクラウンは先代までの4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションから、リヤサスペンションをマルチリンクに変更した他、エンジンもすべて一新。2代目から続いた直列6気筒エンジンもV6に代わり、組み合わせられるトランスミッションにはシーケンシャルモード付6速オートマチックトランスミッションも登場しました。
エクステリアも書の勢いをモチーフとしたデザインで見た目だけでなくCD値も0.27を達成しており空力特性も考慮されているデザインです。
後期型ではアスリートにレクサスGS 350に搭載されている2GR-FSE V6 3.5Lエンジン搭載車を設定し、アスリートの走りをよりパワフルな物としています。
ゼロクラウンはクラウンの新たな一ページを切り開いたモデルとして歴代モデルの中でもかなりの意欲作と言えます。このモデルチェンジでアスリート系の存在感も強まり、これまでの保守的なイメージだけでなく、スポーティなイメージも定着したと言えそうです。
・13代目 S200型 クラウン
現行型の200型クラウンは2008年に登場し、好評だった先代モデルのイメージを踏襲しつつ、縦長のヘッドランプや前後のオーバーハングを延長した事でよりシャープな印象となりました。
13代目クラウンのトピックと言えば、ハイブリッドモデルのラインナップが挙げられます。11代目S170型クラウンやS10型クラウンセダンにもマイルドハイブリッドと呼ばれるパラレル方式のハイブリッドが設定されていましたが、スプリット方式のTHSⅡハイブリッドが設定されたのは現行型である13代目から。
インテリアはセンターパネルがせり出している特徴的なインストルメントパネルとなっており、装備面ではハイブリッドには全面液晶となるファイングラフィックメーターを採用するなど、先進的な内装となっています。
電子制御デバイスもAVS(カーナビ連動式可変ダンパー)、DRAMS(駆動力統合制御システム)の他、クラウンマジェスタに装備されていたVDIM(統合車両姿勢安定制御システム)も採用しています。
ナビ・ブレーキアシストや、ドライバーモニター付プリクラッシュセーフティシステムと言った先進の安全装備も充実しています。
シャシーやパワーユニット等は先代モデルのキャリオーバーとしつつも、最新の安全装備や待望のハイブリッド車の設定など歴代モデル同様最新の技術がふんだんに盛り込まれています。
半世紀以上作り続けられてきた日本の誇る名車クラウン。13代にも及ぶモデルライフの中で、常に最先端の技術を取り入れつつも、伝統を守り抜いてきたクラウンは、レクサスとはまた違った日本市場を重視したパッケージングによる純国産高級車と言えるのではないでしょうか?
いよいよ発表間近の14代目クラウンが、どのように変わって登場するのか、今から期待が膨らみますね。
(井元 貴幸)