ロイターが伝えるところによると、11月11日、スズキの鈴木修会長が「2013年度にタイに於ける四輪車生産を2.6倍に拡大する」と発表したそうです。
同社はタイでは2011年度のシェアが1.2%に留まるなど競合他社に出遅れていたようですが、今年の3月に新工場を立ち上げ、「スイフト」の生産・販売を開始、供給態勢を整えて巻き返しを図っていると言います。
タイでは、政府が自動車を初めて購入する人に税制面で優遇措置を設けている為、需要が増大しており、2012年のスズキの販売台数は前年比2.8倍の2.6万台となる見込み。同社は2013年度にさらに65%増の4.3万台の販売を計画している模様。
「トヨタがタイ進出50周年! 2013年新グローバルカー生産を発表!」や「トヨタとダイハツがASEANで新型車生産開始 ! 1000億円投資 !」でもお伝えしているとおり、トヨタグループもタイ、インドネシアなどのASEAN諸国に於ける増産体制を着々と進めており、スズキについても尖閣問題のあおりで中国で販売を落とす中、ASEAN諸国で販売減を補う戦略のようです。
一方で同社は「SUZUKIが米国で四輪車販売から撤退となった理由は?」で触れたとおり、米国に於ける四輪車販売事業が芳しくなく、採算が採れないことから撤退を決めており、ASEANへの依存度がいっそう高まる見通し。
鈴木会長はタイとインドネシアを合わせたASEAN事業をインドに次ぐ海外事業の第2の柱に据えたいとの考えを示しています。
ちなみにタイはインドネシアとの輸出入に関税がかからない為、スズキは両国をセットで捉えており、インドネシアからタイへ「商用車」と「乗用車」を輸入、逆にタイからインドネシアに「スイフト」を輸出する等、補完関係を強化することで、地理的・政治的なリスクを分散する作戦。
さらに鈴木会長はミャンマー政府に対して、来年3月までに四輪車の生産を再開する為の認可申請を行っているそうで、2010年まで四輪車を生産していた実績を活かして新工場が出来るまでの間、既存工場の生産再開で乗り切るようです。
以上のようにスズキも今後ASEAN諸国での生産比重が高まるものと予測されます。