前方の状況をカメラやレーダーなどのセンサーで把握して、車両側で減速する、いわゆる「衝突被害軽減ブレーキ」 は、かなり普及してきていますが、日産が次のフェイズといえる安全新技術を発表。電気自動車リーフに同システムを搭載した車両によるデモンストレーションが公開されました。
それが『緊急操舵回避支援システム』です。各種センサーによって周囲の状況を把握するという意味では衝突被害軽減ブレーキと同様ですが、このシステムは、そこにハンドル操作(操舵)をプラスしています。
ブレーキだけでは衝突が回避できない状況において操舵する方向をドライバーに知らせると同時に、ドライバーの操作が間に合わない場合は、車両側でブレーキとハンドルを操作することで衝突を回避するものです。
前方の衝突危機を認識するだけでなく、安全なスペースや後方から接近する車両も見つけなければ自動回避はできません。そのために、センサーの数は多くなっています。システムの作動には、車両前方のレーダーとカメラ、車両左右後方の2個のレーダー、周囲にとりつけられた5個のレーザースキャナーからの情報をもとにしているということ。
高速道路における渋滞後尾での衝突回避、また駐車車両のブラインドから歩行者の飛び出しというふたつのケースが動画で紹介されていますが、前者は衝突被害軽減ブレーキでも的確に前方状況を把握できれば回避できる面もありそうですが、後者は今回新たに開発された『緊急操舵回避支援システム』が有効に働くことで、かなりの事故を減らせそうと期待できます。
単に回避するだけではなく、周囲の状況を認知して、瞬時に安全なスペースを見つけて回避操舵を行なうというのは、高度な技術といえますが、この安全新技術の実用化が事故のないクルマ社会につながる大きな一歩となるでしょう。早期の市販車への搭載を期待したいものです。
(山本晋也)